前述したように、こんなことを政治家が真似するようになれば、有権者買収がおこなわれても政治資金収支報告書に記載がなくブラックボックスになり、国民の監視から逃れることが可能になる。不正な政治・選挙活動が横行する、とんでもない社会になってしまうだろう。そんなことを総理大臣が「問題ない」と認めてしまったのである。
もはや愕然とするほかないが、自分の“罪”を正当化するために、安倍首相はいくつも詭弁を弄したのだ。
「たとえば、私は地元においてですね、『新春の会』というのをやって会費をとっています。これは後援会にこの会費を入れて、後援会として領収書を出しておりますから、当然、収支報告書に載せております。これ、収支はイコールでありますが載せております」
じつは、安倍首相が言及した地元での『新春の集い』についても、本サイトでも既報のとおり「参加費が安すぎるのではないか」という指摘が出ているのだが(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2020/01/post-5227.html)、なぜ安倍首相は「新春の集い」は収支報告書に記載して「前夜祭」は覆い隠したのか。それは地元有権者を公的イベントである「桜を見る会」に招待して接待を繰り広げることが買収罪に当たる可能性があると安倍事務所が認識していたからではないのか。そして、だからこそ「前夜祭」は「契約主体は参加者」などというバカげた主張を押し通すしかなくなっているのだ。
しかも、安倍首相は自己正当化のために、こんなことまで述べた。
「これ、たいへんわかりやすいと思いますが、たとえば後援会の人たちが集まって、どこかの食堂なりレストランなり行ってですね、そこで会費を集めて、割り勘でですね、会費を払っていただいたものは、当然これは後援会の収支報告書には載せないわけでございまして、これで完結しているわけでございます。すべての政治的な会合において経費が発生したものを載せるものではありません」
都内でも指折りの高級ホテルの宴会場に約800人を招いたパーティと、後援会メンバーが町の食堂やファミレスに数十人で集まって「割り勘」にすることが同じなわけがない。だいたい、参加人数が最後までわからない1000人近いパーティを「割り勘」にするためには、誰かが立て替えて会終了後に清算するしかないはずだ。