たとえば、昨日30日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)では、ホテル滞在者用の体温計が不足していたと伝え、電話取材に応じたホテルに滞在中の帰国者のひとりは「朝夕の1日2回体温を測るよう言われているのに、病院で測っただけ」と証言。体温計は昨日15時すぎに届いたという。
ホテルに滞在する帰国者は部屋の鍵も渡されずに閉じ込められ、不自由な生活を余儀なくされている。それは体調に変化がないか経過を観察するためだというのに、重要なデータとなる体温を測定するための体温計が行き届いていなかったとは……。唖然とするしかない。
いや、帰国時も酷かった。最初のチャーター便の機内で軽食として用意されたのは、レトルトパウチに入ったコーンピラフと野菜ジュース、水とパンと菓子といった、いかにも簡素かつ質素なもの。封鎖状態の武漢市で駐留していた日本人のある会社員はインスタントラーメンやお菓子で食いつないでいるとメディアでも紹介されていたが、そういう環境に追い込まれていた帰国者に少しは配慮することはできなかったのだろうか。
帰国対応を勇ましく宣言してリーダーシップをアピールした安倍首相だが、実際の対応は配慮のかけらもない上、危機管理意識がまったく欠如していると言わざるを得ない。
だいたい、安倍首相が今回の新型コロナウイルス感染症対策本部を設置したのは、なんと昨日のこと。昨日おこなわれた初会合で安倍首相は「これまで実施してきた水際対策などのフェーズをもう一段引き上げる必要がある」などと述べたが、あまりに遅すぎるだろう。
先日本サイトでお伝えしたように、安倍応援団は必死になって「野党はこんなときに予算委員会で『桜を見る会』のことを言っている」などと喧伝し批判の矛先を野党に向けているが、国の危機管理を担っているのは安倍政権であり、その肝心の危機管理が後手後手であるばかりか、「相部屋」問題が物語るように感染の広がりを助長するような逆対応をとる始末なのだ。批判すべきは、国民の命を本気で守る気が感じられない、安倍政権のやる気のなさのほうであることは言うまでもない。
(編集部)
最終更新:2020.01.31 11:30