さらに、この年の「桜を見る会」前後の安倍首相の「必死ぶり」は、首相動静からもありありと浮かび上がってくる。
じつは研修会の前日である4月19日の午前中、安倍首相はアメリカ・フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘で日米首脳会談をおこなった。安倍首相は同日午後にアメリカを飛び立ち、20日16時13分に羽田空港に到着。すると、その足で研修会がおこなわれたザ・プリンスパークタワー東京に直行し、講演。懇親会にもしっかり出席すると、そのあとはホテルニューオータニに向かい、今度は安倍晋三後援会主催の「桜を見る会前夜祭」に出席。しかも、その後は虎ノ門にあるホテル・アンダーズ東京のバーに出向き、自民党の北村経夫参院議員や山口県議らと懇談し、翌21日は「桜を見る会」が開会されてもいない朝7時49分から新宿御苑で地元・山口県の後援会関係者らと写真撮影をおこなっている。
まさに大車輪の“私的”な活動のための過密スケジュールだが、じつはこの20日夜に、安倍首相は北村議員や山口県議らに「9月もあるのでよろしく」と語っているのだ。この発言は、それまで安倍首相が9月の総裁選への出馬について明言していなかったことから「3選に意欲か」と報じられた。
ようするに、安倍首相は明確に、総裁選の選挙運動として研修会を開催して地方議員を都内に招待し、「桜を見る会」を接待の場として大々的に活用したのである。
それを裏付けるように、しんぶん赤旗によると、総裁選で安倍首相と戦った石破茂議員の地元・鳥取県の議員で「桜を見る会」に参加した者は確認できなかったという。あまりに露骨な話ではないか。
2019年の「桜を見る会」をめぐっては、安倍自民党が7月の参院選で改選を迎えた党所属の参院議員に、後援会関係者らを「4組までご招待いただけます」と記載した案内状を1月に送っていたことが判明しているが、これは税金を使った「桜を見る会」という公的イベントを、組織的に選挙運動に利用していたという公職選挙法違反にあたる事前運動の決定的な証拠であり、れっきとした有権者買収だ。そして、まったく同じように、2018年には総裁選の選挙運動として、国民の税金で地方議員を接待していたのである。安倍首相の「私物化」の極みではないか。