「あらためて会見するというのであれば、いま質問してください」
11月16日、ぶら下がり取材で
「桜を見る会」問題に対する世論の批判の高まりを受けて、安倍首相が「異例の20分超え」で応じたぶら下がり取材。たったの20分、取材に応じることが「異例」と言われること自体が異常だが、この取材自体、開始の約10分前に急遽セットされたもの。ようするに、記者たちに準備時間を与えない姑息なものだった。そして、そこで安倍首相は「長年の慣行」というフレーズを何回も繰り返し、「前夜祭」問題についても「参加者1人5000円という会費はホテル側が設定した価格」などと強調した。
この一方的な主張に対し、記者もなんとか食い下がったが、安倍首相は「いまお話ししたとおりで……最初、聞いておられました?」「私、もう出なければなりませんので、同じような質問はちょっと避けていただきたい」とまくし立てる始末。さらには、後日に記者会見を開く予定はあるのかと尋ねられると「いま質問しろ」と迫ったのだ。
ようするに、不意打ちを狙った上、「説明責任は果たした」というアリバイづくりのために記者たちを利用したわけだが、酷いのは安倍首相だけではない。
というのも、今月27日におこなわれた安倍首相と総理番のオフレコ懇談会では、長谷川栄一首相補佐官が最初に「くれぐれも取材しないでください」と述べたことから「桜を見る会」はおろかIR汚職問題についても記者から質問は出ず、挙げ句、毎年恒例になっているという安倍首相や菅義偉官房長官との2ショット撮影会にまで記者が嬉々として参加していたというのだ(日刊ゲンダイ28日付)。ちなみに、このオフ懇を蹴ったのは、毎日と東京新聞だけだった。
問題発言をこれだけ連発していても無傷でいられるのは、メディアがこうして抱え込まれているからにほかならない。だから、安倍首相は心置きなく付け上がりつづけるのだ。
「私は総理大臣ですから、森羅万象すべて担当しておりますので」
2月6日、参院予算委員会
今年、もっとも安倍首相の思い上がりを象徴する発言こそが、これだ。統計不正問題で出た特別監察委員会の報告書を読んだのかと質された際、安倍首相は「そのものは読んではおりません。私は概要について秘書官から報告を受けている」と一切悪びれずに答弁。さらには「総理大臣でございますから、森羅万象すべて担当しておりますので、あの、報告書をですね、さまざまな、これ日々様々な報告書がございますが、それをすべて精読する時間はとてもない」などと言い出したのだ。
“自分は森羅万象(宇宙のすべて)を「担当している」ので忙しいから第三者委員会の報告書は読めませんでした”って、傲慢もすぎるというものだろう。しかも、安倍首相はこの発言を口にした後も、「統計問題は国家の危機になりかねないという認識はあるか」と訊かれたとき、こう述べた。
「いま、国家の危機かどうか(と訊いた)。私が国家ですよ。総理大臣が国家の危機という、重大な発言を求めているわけでありますから、まず説明をするのが当然のことではないでしょうか」
「国家の代表として」とかほかにも言い方があるだろうに、よりにもよって「私が国家」って……。安倍首相はこれまでも「我々が提出する法律についての説明はまったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」だの「私が最高責任者」だの、自分が絶対的な権力者だと勘違いしているとしか思えない発言を連発してきたが、こうした態度こそが、力によって行政を歪め、「隠蔽、改ざん、偽装」を横行させてきた。そして、森友・加計問題や「桜を見る会」問題を生み出したのである。
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いかがだっただろう。年の瀬に思い出すだけで気分が悪くなった人もいたかもしれないが、安倍首相が狙っているのは「年またぎで国民は忘れる」ということ。だからこそ、こうした「暴言・バカ丸出し発言」をしっかり持ち越して、来年も徹底追及する必要がある。そして、こんな総理大臣が居座りつづけているという異常事態を、来年こそは一掃できることを祈りたい。
(編集部)
最終更新:2020.01.06 03:27