しかしこれも当然だろう。実は、この芹川キャスター、日本経済新聞社論説主幹時代から安倍首相と頻繁に会食をしていることに加え(、例のジャパンライフの広告塔になったジャーナリストのひとりだからだ。
これは本サイトがジャパンライフへの強制捜査直後から指摘してきたことだが、ジャパンライフは通信社、全国紙、そしてNHKなど大マスコミの編集委員・解説委員クラスの幹部を招いて懇談会を開き、それを顧客勧誘の宣伝に使っていた。
たとえば、2017年1月に開催した二階俊博幹事長を囲む懇談会のことを紹介したジャパンライフ顧客宣伝用のパンフレットには、〈トップ政治家やマスコミトップの方々が参加しました! このメンバーで毎月、帝国ホテルにて情報交換会を行なっています〉という文言とともに、参加ジャーナリストの実名・顔写真入りで登場していた。
メンバーの顔ぶれはTBS『ひるおび!』などテレビでおなじみ官邸御用ジャーナリストの筆頭、“田崎スシロー”こと田崎史郎・時事通信社解説委員(肩書きはすべて当時)や、安倍首相と寿司を食う仲から“しまだ鮨”との異名を持つ島田敏男・NHK解説副委員長、元読売新聞社東京本社編集局長の浅海保氏、元朝日新聞政治部長の橘優氏、毎日新聞社の岸井成格・特別編集委員(故人)と倉重篤郎・専門編集委員、『報道ステーション』コメンテーターでもある後藤謙次・元共同通信社編集局長……。そして、このなかに、今回、安倍首相をインタビューした芹川・日経元論説主幹も名前を連ねていたのだ。
「この会合を仕掛け、メンバーを集めたのは朝日の橘元政治部長だといわれています。橘氏は朝日新聞社を退社後、2013年ごろからジャパンライフの顧問を務めていた。2017年退社したが、橘氏はその間、約3000万の顧問料を受け取っていたと被害弁護団が発表した。そのため、会合に参加していた他のメンバーにも、橘氏ほどではないにせよ、相当な謝礼が渡っていたのではないかと指摘されている」(全国紙社会部記者)
芹川氏がジャパンライフからお金を受け取っていたかどうかは、いまのところはっきりしないが、いずれにしても、このBSテレ東の番組で繰り広げられたのは、親の代からジャパンライフどっぷりの政治家・安倍首相に、同じくジャパンライフ癒着のメシ友ジャーナリストがインタビューするという茶番劇だったというわけだ。疑惑まみれの権力者に言い分を垂れ流させるだけにヨイショ番組になるのは当然だろう。
しかも、これは今回のBSテレ東の番組に限った話ではない。マスコミ各社は、政治部幹部がこぞって、ジャパンライフの広告塔になっていたという問題を抱えているため、ブーメランになるのを恐れて、ジャパンライフ追及に完全に腰が引けている状態になっているのだ。
「とくに元政治部長が巨額の報酬を得て、広告塔を引き込んでいたことがわかった朝日新聞は戦々恐々で、社内では現場のジャパンライフ追及を抑え込む動きまで出てきているようです」(全国紙政治部記者)
ただ、安倍首相や加藤厚労相、二階幹事長ら癒着政治家とマスコミが、このジャパンライフ問題をうやむやにすまそうとしても、そうはいかない状況が出てくるかもしれない。というのも、東京地検特捜部がIR汚職のあとにジャパンライフを立件しようという動きがあるからだ。そうなれば、刑事訴追の対象にならなくても、特捜部から政治家や官僚、マスコミ関係者らがジャパンライフからいくらもらったのかという情報がどんどんリークされることになるだろう。
マスコミ各社はそのときになって読者や視聴者から信用を失わないためにも、いまのうちに、自社の幹部の疑惑を自ら調査し、きちんと明かすべきではないか、そのうえで、政権とジャパンライフの関係を徹底追及すべきだろう。
(編集部)
最終更新:2019.12.30 09:14