首相官邸HPより
安倍首相へのスペシャルなクリスマスプレゼントが野党議員から飛び出した。以前から指摘されてきた「桜を見る会」の受付票に記された招待区分番号「60」が、総理大臣枠であることを明確に示す資料が出てきたからだ。
この招待区分「60」が「総理枠」ではないかという疑惑が浮上したのは、11月25日におこなわれた参院行政監視委員会でのことだった。この日、共産党・田村智子議員は2015年の内閣府作成の仕様書では「総理、長官等推薦者が60〜63」に振り分けられているとし、「この順番で考えれば、“60”というのは総理が推薦している方の招待区分ではないのか」と指摘。一方、「桜を見る会」の招待状を顧客獲得の宣伝に使っていたジャパンライフの山口隆祥会長(当時)がその宣伝チラシに載せていた受付票に「60-2357」とナンバリングされている事実から、山口会長を招待したのは安倍首相なのではないかと追及したのだ。
だが、この「60」問題について、政府はずっと人を食ったような態度で逃げつづけた。11月29日の野党合同ヒアリングでは、野党側が内閣府に“招待区分を知る職員に60〜63番の違いを確認してほしい”と要求し、酒田元洋官房総務課長は「承知しました」と回答していたのだが、12月3日のヒアリングで酒田官房総務課長は「当時の担当者が特定できるということは申し上げたが、確認をするというところまで確約したかというと……」「私どもでどう対応するかまでは『わかりました』と申し上げたわけではない」などと回答。その上、今月17日の衆院内閣委理事会では、内閣府と内閣官房の担当者は「配送するため便宜的につけたもので、それ以上調査する必要はない」と調査自体を拒否したのだ。
言っておくが、野党側は憲法62条に規定された議院の国政調査権にもとづいて調査を要求しているにもかかわらず、それを政府は事実上「調査するつもりはない」と拒否したのである。つまり、立法府の軽視という以上に、憲法違反とも言える態度をとったのだ。
こうした態度に批判が起こったためか、昨日23日の参院内閣委員会理事会では内閣府の大塚幸寛官房長が職員への聞き取りの結果として「60番台は従来、官邸や与党の関係だった」と報告。しかし「招待者名簿を廃棄しているため、個別の番号については定かではない」と、「60」が「総理枠」なのかどうかについては回答しなかった。
このように、約1カ月にわたって国民を愚弄しつづけてきた政府だったが、しかし、それももはや通用しない。冒頭に記したように、きょうになって決定的な資料が出てきたからだ。
「桜を見る会」問題を最初に国会で追及した共産党・宮本徹議員は、きょう午前、「国立公文書館にいます」とツイートし、そこに一枚の画像をアップした。それは「平成17年桜を見る会」の「分野別招待者数」という公文書だ。この年の主催者、つまり総理大臣は小泉純一郎氏だ。
その資料に目を通すと、招待区分番号と招待者内訳、その人数などが明記されている。そして、問題の60番台は「総理大臣推薦者」として、こう振り分けられているのだ(括弧内は編集部注)。
〈総理大臣推薦者(人数)2,420(人)
60/総理大臣 (人数内訳)737(人)
61/自民党 (人数内訳)1,483(人)
62/公明党 (人数内訳)200(人)
63/(空欄)
官房長官等推薦者(人数)324(人)
65/官房長官 (人数内訳)132(人)
66/官房副長官 (人数内訳)192(人)〉
田村智子議員が指摘した際の2015年の仕様書では、招待区分〈総理・長官等の推薦者〉が60〜63、〈与党推薦者〉が64・65となっており、この平成17(2005)年「桜を見る会」の公文書とは61以降に多少のズレが見られるが、「10」が「国会議員」の枠であることや、「20」が「国務大臣」「副大臣、政務官、認証官及び各省庁局長以上の者」「東京都、道府県知事・議長等」、「30」が「元国会議員」「歴代総理大臣、同未亡人」「前事務次官等」、「70」が「報道関係者」、といった区分にはまったくズレがない。