さらに青木氏は、公文書の「歴史や教訓を後世に残すもの」という役割を再度説き、安倍首相やその取り巻きたちの矛盾する姿勢に言及した。
「いまの政権とか、いまの政権を支持している人たちというのは保守とか右派とか、自分で呼んだり人から呼ばれたりいろいろするんだけど、むしろ伝統とか国の歴史とか大事にしようという人たちなんですよ。むしろそういう人たちのほうが、こういう文書が残らないこと、公開するか否かは別としてですよ、残さないことに対して、国の伝統とか歴史を大事にしようという人たちがむしろ怒らないといけないんですよ」
ここで玉川氏もたまらず口を挟み、安倍首相の支離滅裂な答弁の欺瞞を突く。
「だいたいプライバシー、プライバシーってよく言ってるじゃないですか。昨日も国会(2日の参院本会議)でプライバシーって言ったけれども、功労を顕彰される人たちなんですよ、呼ばれているのは。顕彰される人たちがプライバシーを明かしてほしくないなんてことを言いますか?」
「まして税金を使う以上、『この人はこうこうこういうふうな功労があったので呼びました』ということを公にすべきじゃないですか」
この玉川氏の指摘には、解説者としてゲスト出演していた政治ジャーナリストの角谷浩一氏が「そう。税金を使っているところがいちばん大きい」と呼応し、「毎回予算よりもオーバーして(税金が)使われているということがわかっている」のに、招待者名簿が破棄されていることを会計検査院はどうするのかと重要な問題を提起した。
税金を使った接待疑惑が持ち上がると「個人の情報」を理由に答弁を拒否し、何かあると「我が国の伝統」だの「我が国の歴史」だのと強調するのに、都合が悪くなると歴史的検証を放棄し、文書を捨てて何もなかったことにしてしまう──。無論、いくら安倍首相が「破棄した」「復元は不可能」と言い張っても、それが大嘘であることは誰もがわかっていることだ。
こうした問題について、青木氏は「恐るべきモラルの崩壊が起こる」とし、心底憂うように、こう述べたのだった。
「(安倍首相は)『前夜祭』の明細書も残っていないって言う。これ、恐るべきモラルの崩壊が起こるわけですよ、国民のあいだで。『だって政府がやってるじゃないか』って話になっちゃうわけでしょう? で、僕、皮肉でもなく心の底から思うんだけど、誰がどう聞いても『嘘でしょ』と。子どもはみんな思ってる、『嘘だ』って。その政府が、『美しい国』とかね、失礼だけど子どもに道徳教育をって言うのはね、道徳教育するべきかどうかというのは議論が分かれるところだと思うけど、少なくとも、こんな政権に僕は言われたくないですよ……」
子どもにだって安倍首相をはじめ政府の主張が嘘ばかりなのはわかる。そんな政府が道徳教育を推奨などできるものか。一連の説明にもなっていない一方的で無責任な主張を繰り返す安倍首相に対し、これほど痛烈な批判もない。実際、青木氏がこう言及した場面はTwitter上で拡散され、本日21時現在で1万1000も「いいね」が押されている。