加えて、伊藤氏が問題にしたのは、そもそもスキャンダルだらけの菅原氏をなぜ、重要閣僚である経産相として入閣させたのか、ということだった。
「僕は不思議だなと思うのが、安倍政権って、どちらかというと経産内閣といわれるくらいですね、経済産業省の影響力が強い政権なんですね。その中心部分に噂の人を持ってきたっていうのが、どうも理解できないんですが。一歩踏み込んで考えると、前回の内閣改造、桜田さんの、今回もそうなんですが、派閥なり実力者の推薦をまる呑みにしてるんですね、かなりの数、入閣者の。それは裏を返すと、たとえばそういう人たちの中に問題大臣が出てきて、辞任しても、政権は揺るがないよという、ある種の自信をもっているから、こういう人でも入閣させちゃうのかな、ってちょっと考えちゃう」
また、与良氏は、この菅原経産相辞任が安倍政権に大した打撃を与えないだろうと予測し、そのことの問題点を指摘していた。
「通り一遍の政治記事ですと、安倍首相の求心力に影響しそうだとか打撃になったとか書くんですけど。実際書いてんでしょうけど、だけどあまり打撃になる感じはしないんですね、僕は。それはなぜかというと、国民そのものが、こういうスキャンダルとか僕から言えば一番恥ずべきことについて、ものすごく慣れっこになってしまっている。まあそんなもんかね、でメロンだカニだと笑い話で済ませてしまうようなね、雰囲気があると思うんですね」
確かに、どんな事態にも責任を取らず、平然と政権を維持してきた安倍首相によって、国民はスキャンダルに慣れっこにさせられてしまった。そして安倍首相自身、そんな状況を百も承知の上で、民主政治を揺るがしかねないスキャンダルをスルー、そして「1週間も経てばみんな忘れる」と国民を舐めきっている。
こうした問題については、本サイトでも再三にわたって批判してきたが、テレビではっきりと指摘された意義は大きい。しかも、与良氏はマスコミの責任も追及していた。
「敢えて言えばマスコミにもあると僕は言いたいわけです。本当に重要な、民主政治にとって重要な話なんだというところまでいかずに、メロンだカニだという話で終わってしまって。そういう話で慣れっこになっている。桜田さんのときもそうですよ。あそこまでいくと本当、失言が慣れっこになって。資質がないというのも、なんかお笑いの対象で終えてしまっているというところにね。逆に言えば、安倍さんがもしかしたら、そこに自信を持っているのかもしれない。ボディブローにはもちろんなってくると思いますけど、菅さんの求心力は落ちるかもしれませんが、安倍さんに直結するかというと。これで一回も国会に出てこない、何も説明しない、一週間経ったらみんな忘れてしまう、みたいな話になると、安倍さんからすれば『しめしめ』というところで終わりかねないです」