経済産業省WEBサイトより
菅原一秀経産相が、ついに完全に詰んだ。選挙区である練馬区に居住する有権者に対し盆暮れに高級メロンやカニ、いくら、すじこ、みかんなどを贈答していたという“有権者買収”疑惑を「週刊文春」(文藝春秋)が2週にわたって報じてきたが、本日発売号ではなんと、先週号の「週刊文春」が発売されたのと同じ10月17日、練馬区でおこなわれた支援者の通夜会場で菅原経産相の秘書が香典袋を手渡した瞬間を“激写”したのだ。
絶句するほかない。公職選挙法では、政治家本人が葬儀や通夜に出席するのではなく、秘書が代理で香典を贈ることは寄附行為にあるとして禁止されている。にもかかわらず、「有権者にメロンやカニなどを贈っていたのではないか」と国会で追及を受けている最中に、堂々と公選法違反行為をおこなっていたのだ。
この異常行動の背景には、閣僚のスキャンダルや疑惑に無視を決め込み、不問に付してきた安倍首相の姿勢があるのは間違いない。つまり、辞任にはいたらないと菅原経産相はタカを括っていたのだろう。
だが、スキャンダル追及の最中に、新たな“有権者買収”の決定的瞬間を押さえられてしまうという今回のスクープを、さすがの安倍首相もスルーすることはできないはずだ。
というのも、「週刊文春」ではこのほかにも、「菅原氏と関係が深い後援会関係者」が、菅原事務所が後援会関係者に対して香典を贈ることが常態化していたことがわかる証言をおこない、さらには今年1月以降、菅原氏が〈少なくとも十五カ所以上〉に公選法で禁止されている枕花を送っていたことをはじめ、今年のゴールデンウィーク前後には東北産の“令和りんご”、自身が大臣に就任して以降も胡蝶蘭を地元有権者に配っていたことを証言付きで紹介。“公選法違反の常習犯”である事実を突きつけているのだ。
国会で追及されてきたメロンやカニなどをばらまいてきたことの証拠である「贈答品リスト」問題は、公選法の時効を過ぎており刑事責任は問われないものだったが、今回の報道は今年の話、しかも香典問題にかんしては先週におこなわれたばかりで刑事責任が問われる。普通なら大臣辞任どころではなく議員辞職が妥当だし、安倍首相の任命責任にも発展するのも必至だ。
まさに前代未聞の一大スキャンダルであり、今後の安倍首相の動きは要注目だが、しかし、驚くほかないのは、ワイドショーの姿勢だ。
昨日の段階で「週刊文春」の報道内容が伝わっていたというのに、きょうのワイドショーでまともにこの問題を取り上げたのは、『ゴゴスマ~GOGO!Smile!』(CBCテレビ)のみ。他の番組はチュートリアルの徳井義実の申告漏れ問題を大々的に報じるのはわかるとしても、『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)や『バイキング』(フジテレビ)にいたっては、なんと菅原経産相のスキャンダルを無視する一方で韓国のチョ・グク前法相の妻が逮捕された話題を大々的に特集。『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)や『スッキリ』(日本テレビ)もチョ・グク前法相の妻が逮捕された話題をストレートニュースのコーナーで報じながら、菅原経産相の問題はスルーした。
この国の大臣がスキャンダル追及中に公選法違反を堂々とぶちかまし、さらにはその“有権者買収”の決定的瞬間の写真まで掲載されるという大スキャンダルが起こっているというのに、それは無視して、隣国のすでに辞職した前大臣をめぐるスキャンダルを飽きもせず延々と報じつづける……。「何かおかしい」という状態ではなく、もはや狂っているとしか言いようがないだろう。