昨日の質疑では森議員も言及したが、じつは国会では、スフィア基準のほか、イタリアの避難者支援についてたびたび取り上げられてきた。
イタリアは約3000人が死亡した1980年のイルピニア地震を教訓として災害対応を見直した“災害対応先進国”であり、朝日新聞2018年8月5日付記事によると、2016年のアマトリーチェ地震では発生から数時間以内には国や地方に登録しているボランティアが約1000人が被災地に入り、地震発生から約半日後にはボランティア団体が避難所に5000人に食事を提供できるキッチンカーを配備。このボランティア団体では、会社員が災害でボランティアとして出動した際、その間の賃金は国が会社に補償するという。さらに、〈家族単位で避難できる大型のテント、ベッド、エアコン、トイレなども各地に備蓄があり、2日間でおおむね行き渡った〉というから驚きだ。
一方、日本人は体育館でお風呂も入れず、プライバシーもなく雑魚寝状態で寝泊まりすることを当たり前のように受け入れている。何度も大きな災害を経験しながら、避難所の様子は一向に変わることはない。とくに東日本大震災では、避難生活で体調を崩して死亡した「災害関連死」と認定された人は3700人にものぼり、熊本地震でも200人を超えた。東日本大震災の教訓が活かされていない証拠だ。
そのため、国会でもイタリアのような対応がとれないかとたびたび言及され、たとえば今年2月15日の衆院本会議でも、イタリアを視察したという立憲民主党の高井崇志議員が、安倍首相に対して、こんな提言をおこなっていた。
「イタリアでは、災害発生から24時間以内に、被災を免れた近隣の自治体が、備蓄されたテント、ベッド、簡易トイレを大型トレーラーに積んで100人体制で被災地へ向かい、避難所の設営から運営まですべてを担います。日本とイタリアの最大の違いは、イタリアは、日本の人口の半分にもかかわらず、700名の専任職員からなる市民保護省があり、さらに、22の州ごとに地方支分部局があることです。
我が国の防災組織は、内閣府に100名ほどの組織があるのみで、その職員の多くは兼務であり、頻繁に人事異動で入れかわります。与党のなかにも防災省を提唱する方はたくさんいらっしゃいますが、イタリアのように専任職員による防災省を創設する考えはないか、総理に伺います」