悲鳴をあげる農家に対して血も涙もない答弁だが、驚愕の答弁はまだつづいた。千葉県では被害を受けた家屋のブルーシートの設置が遅れていると大きな問題になってきたが、なんと、昨日をもって自衛隊はその作業を終えてしまった、というのだ。
これは無所属・小西洋之議員の質問に対する答弁で判明したのだが、昨日9月30日の時点で千葉県内のブルーシート未設置の家屋は1715軒、そのうち独居老人など自力での補修作業が困難な要支援者は32軒。一方、県内でブルーシート設置ができる自衛隊員の数は2000名いるという。そして、昨日は自衛隊員100名がブルーシート設置のために稼働したものの、「昨日の作業分をもって自衛隊が実施する箇所が終了したため、現時点では本日活動予定はございません」(菅原隆拓・防衛省統合幕僚監部総括官)と答弁したのだ。
つまり、ブルーシート未設置家屋が1715軒もあるというのに、自衛隊の活動を終了させたというのである。
これには小西議員が「自衛官にはまったく責任はないです。これは政府の責任です」と述べ、自衛隊の要請を求めたが、しかし、武田防災担当相は「自衛隊の活動は千葉県の要請に基づいておこなうというルールがある」「千葉県の要請が本日どうあったかということもいまから確認させていただく」などとまるで緊張感のない答弁をおこなったのだ。
現在進行形の被害に対する対応も、この体たらく。無論、初動対応の遅れの象徴でもある関係閣僚会議が開かれていないことについても、無責任ぶりがあらわになった。
国民民主党の奥野総一郎議員は「どうして台風10号では関係閣僚会議が開かれ、今回は開かれなかったのか。その違いは何か」と追及したが、これに対し西村明宏官房副長官は「どのような会議を開くかは被害状況を鑑みて判断している」などと述べ、閣僚懇談会でしっかり対応してきたと強調。関係閣僚会議と閣僚懇談会の違いについて訊かれると、西村官房副長官は「関係閣僚会議は特定の案件があったときに招集するものでございますけれども、閣僚懇談会は特定の案件というわけではなくて、まびろに開かれるもの」と説明した。
繰り返すが、事前に気象庁が「記録的な暴風となるおそれがある」と発表し、その上、台風通過後には甚大な被害が発生していることが判明したというのに、なぜ「特定の案件」として関係閣僚会議を開かなかったのか。これではますます疑念が募るが、しかも西村官房副長官はその後、「特定の案件と認識しているからこそ、この閣僚懇談会においてしっかりとした議論がおこなわれている」と答弁。一体どっちなんだと言いたくなるが、ようするに、しどろもどろの状態に陥ったのだ。