しかし、志らくはもしかしたら、自分が「政権擁護発言をしている」という自覚が本当にないのかもしれない。
志らくは〈テレビでは馬鹿な方を叩くし、高座では笑いにつながる方を茶化す〉などと言っているが、おそらく意識としては、空気を読んで、強いもの、多数派の価値観に乗っかっているだけなのだろう。
実際、志らくの安倍応援団化はまさに「付和雷同」的と言えるものだ。志らくは以前は、たしかに本人が言うように露骨な安倍応援団ではなかった。時折、政権批判を口にすることもあった。
ところが、2016年10月から『ひるおび!』のレギュラーコメンテーターになると、田崎史郎や八代英輝弁護士らが活躍する安倍応援団番組の空気に引っ張られるように、志らくの発言は安倍政権にどんどん擁護的になっていく。そして2017年後半、森友加計問題が過ぎ去り、安倍政権の支持率が回復すると、冒頭で示したように、志らくは露骨な安倍擁護、野党叩きばかりを口にするようになるのだ。
2017年夏、テレビがまだ森友加計問題を熱心に報道していた頃、志らくはツイッターで、テレビ報道を批判したネトウヨをこうなだめていた。
〈テレビはとにかく数字。数字が取れなきゃスポンサーがつかない。結果的に偏向報道になっているとしても政治的思想ではない。(中略)安倍政権が回復して来たら直ぐ応援に回るはず。〉
そう言う意味では、志らくはまさに自分が喝破したテレビとまったく同じ思考回路なのであり、だからこそ、自分が予想した通り、安倍政権の支持率が回復した途端に「応援に回った」のである。
そして、それと軌を一にするように、志らくの仕事はどんどん増えていった。2017年上半期には前年同期のテレビ出演回数が6本だったのに対し、じつに20倍以上増の135本。2017年11月には『ワイドナショー』にも初出演する。その後も、バラエティ番組や情報番組などテレビ出演はどんどん増え、そしてついには帯番組のMCの座までゲットしたと言うわけだ。