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マツコへの集団訴訟煽動「N国」立花代表の危険性 ヘイト雑誌で「NHKも電通も文春も韓国に操られている」とヘイト陰謀論

「NHKから国民を守る党」ホームページより


 さすがに目にあまる。参院選でまさかの議席と政党要件を獲得した「NHKから国民を守る党」(N国)の党首・立花孝志氏のことだ。

「NHKをぶっ壊す」の“ワンイシュー”と、選挙区にワケのわからない候補者を大量に立てる“奇策”により、なんの間違いか国会議員になってしまった立花氏だが、当選後、売名丸出しでマツコ・デラックスに絡み出したのは周知の通り。国会に議席を持つ政党のトップでありながら、民間のテレビ局とタレントに「抗議」という名の“嫌がらせ”を執拗に繰り返す様は、完全に常軌を逸しているとしか言いようがないが、3日にはとうとう、東京MXとマツコを相手取って「原告1万人の集団訴訟」をするなどと言い出した。

「仮にBPO(に訴えて)で勝ったとしてもみなさんには1円の得もない、ということなので1万人の裁判。原告1万人、集団で提訴しようと。マツコ・デラックスさんおよび東京MXテレビという会社を被告としてですね、有権者の皆さんが提訴する」(立花氏のYouTubeチャンネルでの発言)

 立花氏は、「気持ち悪い人たち」「なんか、ふざけて入れている人も相当数いるんだろうなあとは思う」というマツコの発言を「侮辱行為で、慰謝料請求の対象になる」と主張しているのだが、首を捻らざるを得ないことに、どうも立花氏自身は原告にならないというのだ。N国に投票した有権者から「先着1万人」で募集をかけて原告団にするという。

「(参院選でN国に)投票された方が原告資格あると思います」
「一人1万円の慰謝料が請求できるかなと。1万人が一人1万円で訴えた場合に合計1億円になります」
「(裁判費用は)一人100円でできると思います。100円で1万円を請求するという裁判」
「原告団に僕は入りませんからね、僕自身は。なので、別に僕はそんなのはどうでもいいんですけども、NHKから国民を守る党を応援している人たちをね、『気持ち悪い』とか『ふざけてる』とか言われたらみなさん黙っていられないでしょ?っていうことです」(YouTubeでの発言)

 念のため虚言を指摘しておくと、別に、マツコは有権者を「気持ち悪い」と言ったのではなく、立花氏やN国の候補者を「このままじゃただの気持ちの悪い人たち」と評したにすぎない。また、マツコの発言がいかにごく普通の論評の範疇であったかについては、本サイトでも発言を詳細に書き起こしながらチェックしてある(https://lite-ra.com/2019/08/post-4906.html)。

 いずれにしても、「原告1万人訴訟」を宣言した立花氏には、実のところ原告として法的責任をとるつもりも裁判費用を払うつもりもないらしい。まるで「100円出したら1万円もらえますよ」と言うような宣伝もほとんど詐欺的である。常識的に考えて裁判所が立花氏の主張を認めるわけがなかろう(というか反訴で逆に損害賠償等を請求される可能性すらありうる)。

 まぎれもなくスラップ訴訟であり、“話題作り”のためのトンデモ訴訟と断じる他ない。

 だが、いくらトンデモだからと言って、もはや見過ごすわけにはいかないだろう。なぜならば、立花氏がマスコミ相手にこうしたスラップ訴訟を起こすことで、メディアは確実に萎縮していくからだ。実際、投開票日直後はN国をおもしろがって取り上げていたテレビも、立花氏によるマツコ攻撃のあたりから「面倒なことは……」と言わんばかりに話題にするのを避け始め、いまではこんな反民主主義的な暴挙にも出ても見て見ぬフリをしている。

 この次に何が起こるかは、火を見るより明らかだ。立花氏は世間に存在感を誇示するため一層、過激化するはずだ。そして、マスコミにとってN国はどんどんアンタッチャブルになり、事実上、何をしでかそうが“黙認”される状況が生まれてしまいかねない。

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