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安倍政権が参院選後に先送りした年金「財政検証」の酷い中身!30年で年金制度破綻、支給開始年齢引き上げ誘導も

 実は、厚労省はもともと年金支給開始年齢の引き上げを狙っていた。「老後資金2000万円不足問題」の端緒となった金融審議会「市場ワーキング・グループ」では、4月12日会合において厚労省年金局企業年金・個人年金課の吉田一生課長が「高齢者の就労促進が重要な課題」「高齢期の就労期間の延伸を年金制度上も反映する」「より柔軟な受給のあり方について公的年金サイドで検討」などと発言。年金の支給開始年齢の引き上げを示唆していた。

 安倍首相も「人生百年時代の到来は大きなチャンス」などと宣い、5月には70歳まで働けるようにする「高年齢者雇用安定法改正案」の骨子を発表。昨年の総裁選討論会ででは「生涯現役であれば、70歳を超えても年金の受給開始年齢を選択可能にしていく仕組みをつくりたい。3年で断行していきたい」と宣言していた。

 そして、今回の財政検証で、選挙が終わったことをいいことに、悪化した結果を逆手にとって、「支給開始年齢の引き上げ」キャンペーンを開始した。

 今回の財政検証の結果が公表されるやいなや、“内閣改造の目玉”としてメディアが持ち上げている自民党の小泉進次郎・厚労部会長は「将来の給付水準は減るが、年金受給開始年齢の拡大など、増やせる改革の余地は大いにある。将来の給付水準を少しでも自分たちで上げることが可能になるような制度改革に、汗をかきたい」とアピール。御用メディアである読売新聞も、さっそく社説で〈年金の受給開始時期で選択の幅を広げることも検討課題だ。より多くの高齢者が長く働き、制度の支え手に回ることが期待できよう〉(28日付)とぶち上げている。

 今回の財政検証で厚労省は「前回より経済前提は控えめに設定」したと述べているが、これは良心などではなく、結局は安倍政権の方針である“年金「死ぬまで働け」改革”の必要性を強調するためだったのではないのかと勘ぐりたくもなる。しかも、何にせよ「100年安心」が大嘘であることはこれではっきりしたのだ。にもかかわらず、ワイドショーはあいかわらず嫌韓報道に熱をあげたままで、この国民全員にかかわる老後年金問題をほとんど取り上げていない。

 このままでは、安倍政権の「年金受給は75歳まで我慢しろ」「死ぬまで働け」「あとは自助努力でなんとかしろ」という恐ろしい政策を、国民が「仕方がないこと」と受け入れるのも時間の問題なのではないだろうか。

最終更新:2019.08.29 09:09

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