番組では、前述したような2012年改憲草案の危ない部分についても紹介したのだが、しかし、ここで焦ったのが田崎氏だった。田崎氏は「あまりその、2012年の草案で議論しても、僕はあまり意味がないと思うんですね」と反論。羽鳥氏とこんなやりとりを繰り広げたのだ。
田崎「たとえば《大規模な“自然”災害》って入れればね、おそらく問題ない文章になるんですよ」
羽鳥「なんで(《自然》という文言を)抜いたんですか?」
田崎「ん、あ、抜いた……もともとあったんだけれども、そういう表現にしたんですね」
羽鳥「なんでですか?」
田崎「なんでかねえ……」
羽鳥「解釈広げるために?」
田崎「いやっ、僕はやっぱりこの《大地震》と書いたことで、自然災害を前提としたと思ったんじゃないかと思いますね」
御用ジャーナリストでさえ《自然災害》と書けばいいと思うほどなのに、それを敢えて書かないというところに、安倍自民党の目的が透けて見えるだろう。だが、田崎氏はその後も必死になり、野党批判に矛先を向けたのだ。
「だから、あのー、大事なのは、こういうことを国会の憲法審査会できちんと議論すればいいじゃないですか。じゃあこれ《自然》と入れれば野党の方もいいんですか?と。そういう議論にそもそもいたらない」
しかし、ここで見事に木村氏はこう斬り返した。
「自然災害の場合には災害対策基本法で、すでに緊急政令の制度ができていますから、憲法審査会の前に、まず災害対策基本法に不備がないかということを、災害関係の委員会で話し合うのが先だと思います」
まさにぐうの音も出ない正論。木村氏はほかにも「病院の緊急電源があるのかとか、避難所にちゃんと毛布が用意されているのかっていうようなことのほうがむしろ私は大事だと思うので、災害対策をするのであれば、こうした条文よりもまず、ハードの面はちゃんと整っているか、避難訓練できているか、ソフトの面から見直そう、そういったところからやったほうがいいと思います」と述べたのだが、この意見こそ、多くの国民が賛同するところではないだろうか。