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安倍首相の「野党は年金不安煽るだけ」デマに騙されるな! 野党は対案提示も無視し、共産党・小池晃には逆ギレ

首相官邸HPより


 ついに投開票が1週間後にまで迫った参院選。本サイトでは2回にわたって、安倍首相がこの選挙戦で誇示しているデータや数字がいかにデタラメなものであるかをお伝えしてきたが(前編https://lite-ra.com/2019/07/post-4832.html、後編https://lite-ra.com/2019/07/post-4833.html)、安倍首相の街頭演説のなかでも、とくに度肝を抜かれたのは、この嘘だ。

「この選挙、年金問題も大きな議論であります。野党は財源の裏打ちのある具体的な議論をせずに、不安ばっかり煽っている。残念です」

 いやいや、参院決算委員会や党首討論でも、野党は財源案も出して年金の見直しについて安倍首相に提案をさんざんおこなってきた。そもそも、年金2000万円問題のきっかけは金融庁の報告書案であって、それを「受け取らない」などとないことのような態度に出て国民の不安を煽りに煽ったのは安倍政権だ。そのトップが、党首討論や国会で野党に対案を突きつけられたことも完全無視して「具体的な議論なし」「残念です」と国民に平然と嘘をつくとは──。

 この嘘ひとつだけでも、到底信用ならないことがよくわかるかと思うが、いまこそ強調したいのは、この安倍首相が無視している野党の「対案」こそ、今回の選挙の最大の争点と言えるものだということだ。

 それは、安倍首相が率先してきた大企業・富裕層の優遇をやめる、という税の見直しだ。

 まずひとつ目は、金融所得課税だ。所得税は年収が高くなるほど税率も上がる累進税率になっているが、株式の配当や売却益といった金融所得は累進課税を免れており、住民税を含めると所得税が最高55%の税率であるのに対し、金融所得は一律20%でしかない。しかも、高所得者ほど金融所得の割合が多いため、所得税の負担率は年収1億円を超えると右肩下がりになっている。

 たとえば、2020年から年収850万円超の会社員は所得税が増税されるが、それによって見込まれる増収は約900億円。対して、金融所得課税を現在の20%から25%に引き上げた場合は、増収は財務省の試算でも2500億円で、数千億~1兆円の増収になるとの試算もある(中日新聞2007年12月12日付)。

 低所得者であるほど負担が重くなる逆進性の高い消費税を増税するならば、この不公平極まりない優遇を真っ先に見直すべきだが、しかし、安倍首相は金融所得への課税の増税を見送った。

 そして、もうひとつは法人税。第二次安倍政権の発足以降、アベノミクスの成長戦略として法人税率はどんどん引き下げられ、法人実効税率は37%から2018年度には29.74%にまで減少している。

 しかも、実質的に企業が負担する法人税率も、2016年度のデータでは資本金1億円以下の小規模企業の負担率は18.1%である一方、資本金100億円超の大企業は12.4%で、連結納税法人はわずか5.2%。資本金10億円超の企業と連結納税法人を合わせた大企業全体だと10.4%になったという(しんぶん赤旗2018年4月20日付)。なぜこのように大企業の法人税負担率が低くなっているかといえば、大企業のために莫大な数の租税特別措置が設けられているからだ。こうした法人税減税の一方で、大企業の内部留保は6年連続で過去最高を更新し続け昨年は446兆円を記録している。

 富裕層や大企業を優遇し、その分を消費税によって庶民に肩代わりさせる──。これが、安倍首相がやってきたことなのだ。

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