ところが、これだけ注目を集めているにもかかわらず、テレビだけはまったく“山本太郎現象”を取り上げていないのだ。民放のワイドショー制作スタッフがその理由をこう語る。
「うちの局やほかの局でも、話題の山本太郎を取り上げようという企画は持ち上がっていた。でも、どこも“公示日前とはいえ、特定の政治家だけクローズアップするのは、放送法違反になる”などという理由で、ことごとくボツになったようです」
しかし、これは明らかにおかしい。たとえば、公示日直前に特定の政党をクローズアップするのが「放送法違反」になるなら、安倍首相を単独出演させた6月22日の辛坊治郎が司会の『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)はなんなのか。言っておくが、このときの番組で安倍首相は「参議院選挙において、憲法改正を審議すらしない政党を選ぶのか、審議をする政党を選ぶのか」と発言するなど、明らかに総理大臣としてではなく、自民党総裁として事前運動発言を連発していた。
自民党だけではない。野党の場合でも、小池百合子が「希望の党」を立ち上げた際や、「維新」が国政進出した際には、テレビも大きく取り上げて、ブームを盛り上げていた。
にもかかわらず、なぜ、山本太郎だけは取り上げられないのか。党首討論に呼ばないのは、政党要件を満たしていないから当然としても、中島氏の言うように、公示前に現象をニュースとして取り上げることはまったく問題ないし、批判的な見方などもきちんと伝えれば、放送法に抵触する恐れはない。
「上層部が言っている『放送法違反』とか『山本はイロモノだから』などという説明は、タテマエ。本当の理由は、山本太郎氏の主張をそのまま取り上げると、官邸や自民党、安倍応援団の視聴者から一斉に抗議が殺到する可能性があるからです。加えて、山本氏とれいわ新選組の場合は、スポンサーからもクレームが入る可能性がある」(前出・ワイドショー制作スタッフ)
そう、山本太郎とれいわ新選組をテレビが取り上げないのは、そのまま、安倍政権やテレビの既得権益に真っ向対立する存在だからだ。