2015年、ISによる後藤健二さん、湯川遥菜さん人質事件が起きたさなか、ISを刺激する安倍首相の発言を批判して、コメンテーターの古賀茂明氏が「“I am not ABE”というプラカードを掲げるべきだ」と発言したことに、官邸が激怒。菅官房長官の秘書官が恫喝メールをテレ朝上層部に送りつけるなど、圧力をかけて、古賀氏を降板に追い込んだことがあったが、このとき、古賀氏らといっしょに同番組から外されたのが、M氏だった。
「Mさんがチーフプロデューサーをつとめていた時代、『報ステ』は政権の不祥事や原発問題に果敢に踏み込んでいました。上層部からの圧力にも身を盾にして現場を守っていた。早河さんや当時の篠塚(浩)報道局長らは苦り切っていて、Mさんを外す機会を虎視眈々と狙っていた。そこに、古賀さんの発言があって、官邸から直接圧力がかかったため、古賀さんを降板させた少しあとに、Mさんを政治家とは直接関わることが少ない経済部長に異動させたというわけです」(テレビ朝日局員)
しかし、M氏は経済部長になってからも、官邸や局の上層部からマークされ続けていた。
昨年4月、財務省・福田淳一事務次官(当時)の女性記者へのセクハラ問題が勃発したときは、官邸がM氏に責任をかぶせるフェイク攻撃を仕掛けていたフシがある。周知のように、福田次官のセクハラは、「週刊新潮」(新潮社)がスクープしたものだが、告発した女性記者の一人がテレ朝の経済部記者で、M氏はその女性記者の上司だった。そのため官邸は「Mが女性記者をそそのかして告発させた」という情報を拡散させたのだ。
「たしかに当時、官邸に近い政治部記者が『Mが福田次官をハメるため女性記者に「週刊新潮」への音源提供をそそのかした』なるストーリーを口々に語っていました。週刊誌が調べてもそんな事実はなくて、官邸幹部が吹き込んだフェイク情報だったようですが……。官邸はこういう情報操作と同時に、テレビ朝日にも『Mをなんとかしろ』と相当、圧力をかけていたようですね。テレ朝としてはそのときにすぐに左遷するのは露骨だったので、タイミングをみはからっていたんでしょう」(週刊誌記者)