いずれにしても、防衛省はこうしたF35の機体、装置にかかわる論点・問題を説明も検証もせぬまま、人的要因によるものだとして強引に事故の幕引きを図ろうとしているのだ。むしろ、機体のことには一切触れるな、という空気さえ漂っている。
これはもちろん、F35が、安倍首相がトランプ大統領に尻尾を振って約束したモロな“政治案件”だからだ。
実際、F35の大量購入は、2018年12月の日米会談で、トランプ大統領が安倍首相と会談した後、「F35の購入に感謝したい」と漏らしたことで発覚した。この段階では、政府はまだ正式決定していなかったため、安倍首相が勝手に確約したとの批判の声も上がったが、その後、F35の導入は一気に進んでいく。
4月末の訪米でも、安倍首相がトランプ大統領に「105機の購入」を確認。そして、5月末にトランプ大統領が来日した際に購入を正式に発表、トランプ大統領は安倍首相とともに横須賀基地でF35Bを搭載するために空母化される護衛艦「かが」に乗り込み、自衛隊員や米軍兵士に向かってこう訓示した。
「日本は米国の防衛装備の最大の買い手となった。新たなF35ステルス戦闘機を105機購入すると発表した。米国の同盟国のなかで日本がもっともF35を保有することになる。この護衛艦もF35を搭載できるように改修され、様々な脅威を抑止できるようになる」
そういう意味では、F35は安倍首相のトランプ大統領への“忠誠心の証明”なのだ。
しかし、もし今回の事故究明で、機体に問題が見つかれば、その安倍首相がトランプに約束したF35大量購入に批判が集まり、計画が変更に追い込まれかねない。だからこそ、防衛省は事故原因が明らかにならないうちに機体の捜索を打ち切り、「人的要因」の結論ありきで幕を引こうとしたのである。
断っておくが、こうした見方は安倍政権に批判的な本サイトだけが言っているわけではない。