当然、こうした情勢調査結果はマスコミから安倍政権へ逐次伝達されており、政権中枢もかなりの衝撃を受けているといわれる。自民党関係者は「沖縄3区は野党の牙城だけにすっかり諦めていたんだが、大阪12区まで失うとなると大ごとだ。残る1週間で巻き返しを図らないといけない」と焦りを隠せないようだ。
「カギを握るのは創価学会票。維新とは対立関係にあるので、樽床氏に流れたとみられている。その学会票を自民党側に奪還することが先決で、菅官房長官と太いパイプでつながる佐藤浩・学会副会長に頼み込んで協力を仰がないと事態は好転しないだろう。果たして、残る1週間で形勢逆転に動き出すほど学会が動いてくれるかどうか……」(前出・自民党関係者)
もはや選挙情勢をひっくり返すのは絶望的だろうとの観測も流れるなか、安倍政権が心配しているのは7月に控えている参院選への影響だ。補選の選挙結果で、自民党支持層のなかにも「安倍政権はそろそろいいんじゃないか」という空気が広がれば、参院選で大敗北ということにつながりかねない、と危惧しているのだ。
しかも、安倍政権にとっては、補選後にもうひとつ、政権を揺るがす“事件”が起きるとささやかれている。財務省関係者が打ち明ける。
「5月20日に公表される四半期別のGDP速報値がマイナスになる公算が強まっているんだ。参院選を目前にした時期にそんなマイナスの速報値が出たら、安倍首相が責任を問われることになるのは必至。そうなると、参院選での自民敗北の可能性はますます高まってくる」
先日、『れいわ新選組』の立ち上げを宣言した山本太郎が“消費増税反対”を明確に打ち出し、共産党も“消費増税反対”を強調しているが、マイナスのGDP速報値が出れば、他の野党もこの動きに乗って、“ワン・イシュー選挙”戦略に出る可能性もある。そうなると、安倍自民党はますます厳しくなるだろう。
そんななかで、永田町でまたぞろささやかれはじめたのが、消費増税延期と衆院解散、衆参ダブル選挙だ。
「普通ならこれだけ準備を進めておきながら延期というのはありえないが、選挙で勝つためには手段を選ばない安倍首相に限ってはありえる話です。それに、消費増税最強硬派だった麻生財務相の政権内の影響力がかなり落ちていますからね。ただ、今回の場合は安倍首相が消費増税延期を言い出しても、野党も消費増税反対を言っていますから、起死回生につながるどうか」
いずれにしても、今回の衆院補選の後、政局が大きく動きだす可能性がある。いっそうの注視が必要だろう。
(編集部)
最終更新:2019.04.14 10:35