首相官邸ホームページより
政府が4月1日の11時半ごろに新たな元号を公開すると発表した。当初、永田町周辺では、安倍首相が直接、新元号を公表するとの観測も流れていたが、平成への改元時と同様に内閣官房長官が記者会見で示すことに落ち着いたようだ。だが、元号を政治利用したい安倍首相の野望はいささかも揺るぎない。
報じられているように、4月1日の午前に菅義偉官房長官が新元号を公開した直後、安倍首相は正午に記者会見を開いて談話を発表。「新元号に込められた意義」を国民に語るらしいのだ。
周知のように、昭和から平成への改元では、当時の首相である竹下登は会見などしていない。官房長官だった小渕恵三が発表し、その際、小渕が竹下の短い談話を読み上げただけだった。それは、首相が前に出すぎることで、天皇の政治利用という批判を受けるのを避けたためだろう。
ところが、今回は安倍首相がわざわざ会見を開き、「〇〇という新しい元号には日本の繁栄と幸福を祈る気持ちが込められている」とか「2020年には東京五輪も控えている。新しい時代にふさわしい元号です」などと得意げに話すらしいのだ。
「安倍首相は当初、元号発表も自分でやる気でいた。それで、側近の官邸幹部や閣僚に『安倍さんに発表してもらったほうがいい』などと言わせていた。しかし、前例を崩すと、さすがに政治利用という批判が起きかねないので、別で会見を開くということに落ち着いたようです」(全国紙官邸担当記者)
ようするに、安倍首相は自分が元号発表にコミットすれば、“新元号を最終決定した首相”として権威を誇示し、これまでの安倍政治を正当化することができると踏んだのだろう。本サイトはそもそも元号を廃止すべきという立場だが、天皇主義者や元号肯定派からみても、この安倍の行為は“私物化”としか言いようがない。
しかも、安倍首相の改元政治利用は、このパフォーマンスだけではない。新元号を巡って、水面下で様々な裏工作を行っている。その一つが、新たに天皇に即位する皇太子への接触だ。
昨日29日の午前、安倍首相は皇居を訪れて明仁天皇に内奏し、新元号公表の流れなどについて説明したという。だが、驚くことに、その午後には元赤坂の東宮御所へ向い、皇太子と面会したのである。
安倍首相は2月22日の午後にも、皇太子と面会している。総理大臣が天皇に国内外の情勢を報告する「内奏」は年に数回ほど行われているが、現役の首相が皇太子と一対一で面会をするのは異例のことだった。それを、安倍首相は約1カ月の間に二度も行ったのだ。これは、まさに異例中の異例と言っていい。
「今回も先月同様、皇位継承や新元号発表などに関して説明したと言われていますが、総理が二度も同じことを、しかも直接、皇太子殿下に話す必要があるとは思えない。安倍総理と今の天皇ご夫妻との関係に亀裂が入っていることは、いまや“公然の秘密”。新天皇となる皇太子に対してはわざわざ異例中の異例の対応をすることで取り込みたいという意図があるとしか思えません」(宮内庁担当記者)