もちろん、現実問題で言えば、今回の議決は「起訴相当」でなく「不起訴不当」であるため、手放しで歓迎することはできない。「起訴相当」の場合、検察官が再捜査後に再び不起訴としても、検察審査会が「起訴相当」と議決すれば、裁判所の指定する弁護士が検察官に代わって強制的に起訴される。だが、「不起訴不当」の場合、検察に再捜査させることができるだけで、検察官が再び不起訴とすればそこで事件は終了してしまう。
今回、安倍首相を守り通した佐川氏が「起訴相当」にならず、「不起訴不当」にとどまった裏にも、検察の誘導があり、検察としては「ギリギリセーフ」の結果なのかもしれない。実際、大阪地検特捜部の捜査の経緯を振り返れば、再捜査で起訴となる可能性は、ゼロだろう。
「検察が一回、自分たちで下した決定を自らくつがえすことなんてありえない。しかも、大阪地検は途中で、捜査を上層部から潰されているわけですからね。大阪地検は当初、佐川氏と近畿財務局の職員を上げる気満々だった。ところが、官邸の代理人といわれる黒川弘務・法務省事務次官(当時)に潰されたわけです。黒川氏はそのあと、東京高検検事長に出世し、検事総長への道を着々と登っていますから、いまさら逆らえるはずがない」(司法担当記者)
しかし、だとしても、今回の「不起訴不当」議決によって、検察がもう一回、捜査に動かざるをえなくなり、もう一度、起訴か不起訴か判断を下さざるをえなくなった。そして、それはメディアにもう一度、この問題を報道するチャンスが訪れるということでもある。
メディアは検察に頼るのでなく、検察審査会の「不起訴不当」を契機として、自らが安倍政権の不正を徹底追及していく覚悟を持つべきなのである。
(編集部)
最終更新:2019.03.30 02:56