さらに、スタジオトークでは、望月記者に対する質問妨害について“ほかの記者にも発せられているのか”と質問を受けると、田崎氏は「ほかの記者にはしていないと思う」と言い、こうつづけた。
「官房長官、非常にお忙しいですから、にもかかわらず記者会見は時間制限なしでやっているんですよ。それが決まりになっているんですよ。それで、その行為に、あの〜、乗じて何かをしようとすると、こういうふうな軋轢が起こってくるってことですね」
忙しいなか時間制限なしで質問を受けてくれているというのに、それにつけ込んで空気も読まずに質問を浴びせるから軋轢が生まれるんだ、と田崎氏は言いたいらしい。ようするに、「お上に楯突くな」というわけだ。
よくもまあこれでジャーナリストを名乗れるものだと呆れるほかないが、一方、同番組では元TBS政治部長の龍崎孝氏が「記者が質問することのどこが問題なのかと。私は問題なんてものはないと、なんでも訊いていいんだと(思う)。それを問題だと決め付けることが、権力の思い上がりに近づいていく」と指摘。また、この問題の見え方が〈権力に臆さない記者vs突き放す政府〉というものと、〈非常識な記者vs冷静な政府〉というものに分かれていると言及した。
この〈非常識な記者vs冷静な政府〉という図式こそ、菅官房長官が筆頭になってつくり出し、産経新聞が煽り、そして今回、田崎氏がこの放送で必死に広めようとしたものだ。だが、最初にも述べたように「事実に基づかない説明」で記者を排除しようとしているのは菅官房長官であり、〈非常識〉なのは官邸のほうなのだ。
しかし、〈非常識な官邸〉の実態を大きく取り上げるメディアは少なく、とくにテレビは掘り下げることもなくほとんどスルーしている。そうやって、「知る権利」という権利意識が国民のなかから薄れ消えてゆくのを、安倍政権は待っているのだろう。
(編集部)
最終更新:2019.03.19 07:14