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安倍首相の「お父さん違憲なの」はやはりでっちあげ? 日本会議系団体が50年以上前の話を改憲プロパガンダで拡散

 たしかにこうした話はほかにもある。それは、日本政策研究センター発行の「明日への選択」に掲載されていた。日本政策研究センターは、安倍首相のブレーンで、日本会議幹部である伊藤哲夫氏が率いるシンクタンクだが、同センター所長の岡田邦宏氏がその機関誌である「明日への選択」2017年6月号で、20年以上も前の産経新聞の記事を紹介。産経OBで当時は社会部長だった大野敏明氏が“私は父が自衛官だったことで教師からいじめられた”と書いていたことを紹介しているのだ(ちなみに、このエピソードも60年安保の翌年、つまり50年以上前の古い話だった)。

 さらに、翌7月号でも、やはり岡田氏が「違憲論が自衛隊に強いるかくも不条理な境遇」と題した論考で、“自衛隊が違憲であることで生じた「敵視」「蔑視」の言動”を並び立てようと試みていた。

 織田氏が「正論」に「お父さん違憲なの?」エピソードを書いたのは前述したように2017年6月。つまり、同じ時期に、保守界隈で“違憲だから自衛官の子どもがいじめられている”という話が語られ始めたのだ。

 これは偶然ではないだろう。周知の通り、その直前の2017年の5月、安倍首相が読売新聞のインタビューと極右改憲集会に寄せたビデオメッセージのなかで、自衛隊を憲法に明記する、いわゆる「9条3項加憲案」をぶちあげている。

 つまり、この「9条3項加憲案」を正当化するために、改憲勢力や自衛隊出身の右派論客などが、古いエピソードをもちだしたのだ。

 ちなみそのひとつである「明日への選択」の発行元・日本政策研究センターの代表・伊藤哲夫氏はいち早く「9条3項加憲案」を打ち出した人物で、安倍首相が打ち出したのも、伊藤氏の指南ではないかといわれている(過去記事https://lite-ra.com/2017/05/post-3147.html)。

 そう考えると、安倍首相は「お父さん違憲なの?」話を現役航空自衛官でなく、自分のブレーンである日本会議幹部から「9条3項加憲案」とセットで聞いた可能性もあるだろう。

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