安倍首相はどうしてこんな発言の“修正”を行なったのか。疑惑はますます深まってくる。安倍首相が秘書官経由で「お父さん違憲なの?」話を聞いたという、航空自衛隊の現役幹部は実在するのか。
実は、一部で、安倍首相が口にしているエピソードの根拠だと指摘されている自衛隊OBがいる。元航空自衛隊空将で、現在では右派論壇人として活動している織田邦男氏のことだ。
織田氏は、「林原チャンネル」(2019年1月21日公開)という右派系インターネット番組で、自分の息子から「お父さん、自衛隊って違憲なの?」と問われたエピソードを公開したうえ、「それを私があるところに書いたら、最近、安倍さんがそのフレーズを使うようになっちゃって、あはは(笑)」と発言していた。
また、日本会議が事務局を担う極右改憲団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の協力で運営されている「KAIKEN channel」なるインターネットテレビでも、今年1月にこのように語っていた。
「私の息子も、小学校だったか中学校だったか忘れましたけれども、帰ってきてね『お父さん、自衛隊って違憲なの?』っていう聞かれたときはショックを受けまして。なんだそれって。先生が言っていると。自衛隊の官舎に住みながらね、息子は疑問を感じたんでしょうね」
一部のネトウヨ、安倍応援団やそれ系のまとめサイトはこの織田氏の存在をもちだして「自衛官は実在している」と安倍首相を擁護しているのだ。
ちなみに、織田氏は現役時代、二等空尉として小松基地の飛行部隊に勤務していた1979〜1980年ごろの体験として、「二機のファントムがスプレッド隊形で能登半島沖を小松基地に向かって、高度一万フィートくらいを降下中に、そのスプレッド隊形の真ん中に、突如、UFOが出現したのです」などと証言したこともある(佐藤守『実録・自衛隊パイロットたちが目撃したUFO』講談社)。また現在は、前述したように、保守言論人として改憲運動に邁進している。そんな人物が「息子に『違憲なの?』と言われた」と語ったからといって、はたして信用していいものなのか。
というか、それ以前に、織田氏は現役自衛官ではないし、安倍首相や秘書官に直接話したわけでもなく、「あるところに書いたら、安倍さんが使うようになった」と言っているのだ。