今回、玉川がこのような特集を組んだのは、『モーニングショー』自体の状況に対する危機感でもあったのだろうし、その特集を受けて涙ながらの告白をした宇賀アナにも忸怩たる思いがあったのだろう。
ちなみに、今回の羽鳥のあまりにキツい後輩アナウンサーへの恫喝を見て、印象が変わったという声も多い。
村本に対する強い調子での反論といい、宇賀アナへの執拗な追及といい、親しみやすいキャラクターとしてお茶の間の人気を集めてきた羽鳥が、いままで見せたことのない攻撃的な態度をとった。羽鳥がそこまで態度を豹変させたのは、村本が指摘した「真実を伝えるのでなく、安心を与える道具に成り下がっている」というテレビの現状を、もっとも体現する一人だからにほかならないだろう。
羽鳥アナは安倍応援団でもないと思うが、空気を読み波風を立てずバランスを取ることに力を注ぐ典型的な「サラリーマン体質」の持ち主であることは間違いない。
現在の言論状況をここまで後退させた要因として大きいのは、安倍応援団やネトウヨの存在以上に、この「サラリーマン体質」のほうだ。
上司に逆らって睨まれたくない、政権から目をつけられるのも面倒くさいし、ネトウヨからの抗議を受けるのも面倒くさいから、ほどほどの内容におさえたい。政権批判せざるを得ないネタなら扱いたくない──そういった感覚がメディアの隅々まで浸透していった結果、時間をかけて日本社会における言論状況はここまで後退してきてしまった。
今回の『モーニングショー』は、さまざまな面でメディアの問題点を炙り出す内容であった。
(編集部)
最終更新:2019.02.22 11:26