実際、当の中江前首相秘書官も、ここまで虚偽答弁と新たな圧力の事実が明らかになっているにもかかわらず、いまだ曖昧にしつづけている。昨日の国会で、こう答弁したのだ。
「正直、2015年9月14日に厚労省から説明を受けた記憶はまったくない」
「首相案件」疑惑では耳タコ状態のフレーズ、「記憶にない」。モリカケ問題の追及で財務省の佐川元理財局長や柳瀬唯夫・元首相秘書官が何度も繰り返してきたこの言葉が、この統計不正問題でもついに飛び出したのである。
しかも、中江前首相秘書官は、つづけてこんな珍妙な答弁をおこなった。
「私の問題意識からすれば、仮に、調査対象を部分的に入れ替える方式のほうが経済の実態をよりタイムリーに表すのであれば、専門的な検討を進めてもらったらいいのではないかということを言ったかもしれないが、説明を受けた記憶は本当にまったくない」
「言ったかもしれないが記憶にない」って……。まったく醜い答弁だが、逃げ道を塞がれ、しかし事実を認めるわけにもいかないという苦しい状態に、安倍政権が追い込まれていることが、よくわかるだろう。
いずれにしても、加計問題では、柳瀬首相秘書官や和泉洋人首相補佐官といった安倍首相の側近が内閣府や文科省に「首相案件」として圧力をかけていたが、この「アベノミクス偽装」問題でも同じ構図だったことは間違いない。──政治的圧力によって行政をゆがめ、忖度を引き出し、ときに友だちを優遇し、ときに数字を偽装する。こんな安倍首相のやりたい放題を、このまま許しつづけるわけにはいかないだろう。
(編集部)
最終更新:2019.02.21 11:40