『ワイドナショー』にも頻繁に登場する三浦だが…
1月13日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)において松本人志が指原莉乃に発した「お得意のなんかカラダを使ってなんかするとか」という女性差別発言。この発言にはネット上で批判の声が高まっていたが、昨日、指原がTwitterに〈松本さんが干されますように〉と投稿し、松本が〈指原様〜〉と反応した。
このやり取りに対しては、「凄すぎる!」「指原の勝ち」「これで手打ちになりそう」などという意見が寄せられているが、松本は自身の発言に対して何の撤回も謝罪もしておらず、結局は指原が見せた芸能界の先輩に対する“高度な気遣い”に丸乗りし、笑い話として幕を引こうとしているだけ。とてもじゃないが、笑えるわけがない。
しかも、そんな最中、とんでもない理論で松本を擁護する者が現れた。『ワイドナショー』にもゲストコメンテーターとしてたびたび登場している、国際政治学者の三浦瑠麗だ。
三浦は昨日、自身のブログおよびTwitterを更新。そのなかで、今回の松本の発言をこのように“分析”している。
〈ワイドナショーの松本さん発言については、仲の良い親分肌の指原さんが刺し返してくることを織り込んだうえで下品な笑いを取りに行き、自らを自嘲的な笑いに持ち込むというのが彼の考えた筋書きだったと思います。〉
本サイトでも指摘したが(https://lite-ra.com/2019/01/post-4491.html)、「お得意のカラダを使って」という発言は、昔から男社会で働く女性を攻撃するときに使われる差別発言の典型であり、その発言の底に流れているのは「女は男より無能で劣っている、にもかかわらず社会進出や出世をしたのは“女性を武器”にしたからに違いない」という二重の偏見であり、こうした考えこそが女性の権利を奪い、社会進出を阻んできた。それを「下品な笑い」とし、松本発言に明確に表れている女性への蔑視を指摘しないのは、たんなる擁護でしかない。
その上、三浦は、こうつづけるのだ。
〈あの場で、指原さんは「何言ってるんですか」「ヤバ」と即座に刺し返し、松本さんに完全に引導を渡していましたので、そこには何の問題もなかったというのが私の理解です。〉
指原が松本に引導を渡したから問題はない……? 一体、それはどんな理屈なのだろう。セクハラ発言を受けた相手がどんなふうに返そうが、元の差別発言がなくなるわけではない。受け手のリアクションによって差別が無効化するようなことはあり得ないのだ。
だが、相手のリアクションに重きを置く三浦は、さらにこんなことを主張する。
〈しかし、もし「えーやだー!(笑)」とかおもねった風に反応する女性であったならば、松本さんも興ざめであったろうし、そこは人を見てジャブを繰り出しているというのが、私が彼を近くで見ていた限りの認識です。結論は、若い女の子が「指原さんかっこいい!」と思うロールモデルを提供しているね、ということ以上でもなければ以下でもない。〉
どうして発言が差別だったかどうかを考えるのに、松本が「興ざめ」するかどうかが判断のなかに入ってくるのか。いや、三浦は「松本は人を見てジャブを繰り出している」などというが、その「人を見て」というのは、相手より自分が立場的に強いかどうかだ。
現に、昨年4月、同番組で元NHKの登坂淳一アナウンサーのセクハラ・パワハラ問題を取り上げた際、松本はいとうあさこに対し、「たとえば、俺がいとうあさこと飲んでてさ、急にブッチューってキスしたら、それはセクハラになる?」と質問したことがあった。そのとき、いとうは「超うれしい!」と返したのだが、すると松本は「そう、そう、ね! でもそれがまた俺のパワハラやって言う人もいるから。それは『いとうあさこ、そう言うしかなかったよね』って」と言い、パワハラ・セクハラ問題を正当化しようとした。