この「1974年に起こした死亡交通事故」というのは、本サイトでも2016年に紹介した問題だ(詳しくはhttps://lite-ra.com/2016/05/post-2254.html)。当時の新聞報道によればこの事故はあきらかに竹田氏側の過失だと思われるが、竹田氏は重い刑事責任を問われることもなく、ほどなく馬術競技に復帰。事故から2年も経っていない1976年に開かれたモントリオール五輪に出場したのである。
通常の会社勤務なら、死亡事故を起こすと解雇になるケースも多く、スポーツ選手ではバトミントン五輪代表選手が違法カジノに出入りしていただけで無期限の競技会出場停止になりリオ五輪の出場権を剥奪された。それらと較べれば雲泥の差だ。
もちろん、交通事故は過失であり、人を死なせた人間にも人生をやり直すチャンスは与えられるべきだ。しかし、これだけの大事故を引き起こしていたら、やはり五輪のような華々しい表舞台からは身を引くのが普通の神経だろう。ましてや、竹田氏の場合は、事故の影響で東京チームが連帯責任をとって、国体の出場をとりやめているのだ。それが、本人がすぐに五輪出場とは……。
しかも、竹田氏はこの後、1984年のロサンゼルス五輪で日本選手団コーチ、92年のバルセロナ五輪で日本選手団監督と、JOC内部でどんどん出世していく。そして、2001年にはとうとうJOC会長に就任。2003年にはそれまでJOC役員は無給だったが、竹田会長含め3人の役員に報酬を支給することが決定し、2011年に公表された竹田会長への報酬額は月額130万円(年間1560万円)だった。
あらゆる面で異例の処遇を受けてきた、竹田JOC会長。一方、『虎ノ門ニュース』では交通事故の問題は読み上げられただけで言及されることもなく、恒泰氏も「意味不明ですね」「知る権利って(笑)」と漏らすだけだった。
そもそも恒泰氏は、2016年にこの賄賂疑惑が最初に報じられた際も、『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)で「仮に百歩譲って意図的にお金をワイロのつもりで渡していたとしても合法。違法ではない」と驚きの主張をおこなっていた。父親を守るために金で五輪招致をすることまで肯定するとは、「民度が低い」のは恒泰氏にほかならないだろう。
だが、恒泰氏はフランスを攻撃するだけでなく、こんなことも言い出している。
〈3年前、馳文科大臣(当時)は衆院予算委員会で「電通からブラック・タイディングス社が実績があるとして勧められ、招致員会が契約を判断した」と答弁している。電通から勧められた会社であることは、テレビでは触れないことが多い。電通に関するマイナスの話は、ご法度なのだろうか?〉(今月14日のツイート)
きょうの『虎ノ門ニュース』でも、恒泰氏は電通の問題を取り上げ、有本香氏から「竹田さん、この番組だから名前をおっしゃったんだけども、電通が関わっているということは、みんな知ってることなんだけど、電通の名前って全然出てこないよね」と振られると、「まあ、それはスポンサーを束ねてるから、メディアとしてはねえ」と答えていた(ちなみに恒泰氏自身、『Abema Prime』(Abema TV)でこの問題について語った際は「電通」の名前は出さず、「ある大手広告代理店」などと日和っていた)。
恒泰氏が父親を庇うために矛先を電通に向かわせようとしていることはあきらかだが、既報の通り、今回の賄賂疑惑は当初から電通が仕掛けた可能性がかなり高いと考えられてきた。しかし、メディアは電通タブーを恐れ、この問題の追及を避けてきた。疑惑の解明のためにも、恒泰氏はネット番組で吠えるだけではなく、地上波の番組でも「電通の問題を徹底追及すべき」と訴えてみてはいかがだろうか。無論、そうすれば、父上がいかに関与してきたかも掘り下げられることになるはずだが……。
(編集部)
最終更新:2019.01.17 01:29