改めて指摘しておくが、筆者は「女性だけのお笑い番組」や「コンテスト」を否定するつもりはない。むしろ、この男性優位のお笑いの状況を覆すためにも、あえて女性芸人のための場をつくるという試みは、非常に有意義なものだろう。
しかし、その結果は、『THE W』や『ドキュメンタル』をみてもわかるように、女性芸人ならではの新しい笑いを表現するのではなく、女性芸人を「ホモソーシャルな笑い」の枠のなかに無理やり入れることにしかなっていない。
これまで、女性芸人がまず活躍の場を手にするために、「ブス」「モテない」などの男性目線の自虐ネタを武器として使ってきたことは、やむを得ない部分があった。
しかし、そうした男性中心社会に迎合したものとは別の文脈の、オルタナティブな笑いがそろそろ必要なのではないか。そして、新しいネタや文脈の開拓は、何も女性芸人だけに課される話でもない。男性芸人やテレビの製作者たちも取り組むべき課題だ。
女芸人が男社会の目線から自立したお笑いを築いて活躍することは、お笑いだけの問題ではない。極右政治家の女性差別発言が“奔放”“おもしろい”とされる社会への有効なカウンターにもなるだろう。
(本田コッペ)
最終更新:2018.12.25 11:39