これは単なる思い込みではない。国会審議でとんでもない政府答弁が出ているのだ。今年7月4日、衆院厚生労働委員会での水道法改正集中審議でのやりとりだ。
質問に立った尾辻かな子議員(立憲民主)は「災害時にどうするのか。もしコンセッションの事業実施の自治体が地震などで被災をして断水とか漏水した場合、民間企業で対応できるのか」と質した。
答弁に当たった大沼みずほ・厚労大臣政務官(自民)は「コンセッション導入時の災害時の対応につきましては、どこまでを民間企業に委ねるかを、あらかじめPFI法に基づく実施方針及び実施契約で決めることとなります。このため、契約で義務づけることによって断水、漏水した場合の対応や給水車による応急給水、補修、点検などの応援を民間事業者に行わせることも可能でございます」と答弁した。
災害が起きた場合、行政が復旧の責任を負うか、民間事業者に復旧の責任を負うかは、契約次第だというのだ。
しかも、尾辻議員から「一番大事な災害の応援が、コンセッションはできるかできないか、いまの時点ではわからない、可能性があるとかいう答えだったというのは、非常に問題があると思いますよ」と批判を受けても、加藤勝信厚労相らは曖昧な答弁に終始。最後までどちらかに「責任を負わせる」「義務付ける」とは断言せず「事業継続のための措置をあらかじめ定める」「厚労大臣が協力体制を確認する」などという曖昧なセリフを繰り返した。
「厳しい契約を義務づけたら、肝心の民間企業の参入は難しくなる。この曖昧さは、そんな壁を無くしたい安倍政権の姿勢の表れでしょう。しかし、災害復旧の責任主体を曖昧にしたら、それこそ、誰も復旧の責任をとらないという事態が起きかねない」(全国紙社会部記者)
つまるところ、今度の改正水道法は災害対応の担保など無きに等しいのだ。しかし、この国の「命のインフラ」を破壊する水道法改正案はもう成立してしまった。いまわたしたちがやれることといえば、自分の自治体で民営化に抵抗し続けることだけだ。
(編集部)
最終更新:2018.12.07 07:14