そして、この「人質司法」と悪名の高い日本の長期勾留は、今回のゴーン容疑者に適用される可能性が非常に高い。というのも、本サイトが先日の記事で指摘したように、この逮捕はかなり無理があり、ゴーン容疑者の自白が不可欠だからだ。
今回、東京地検特捜部は日産の幹部らと司法取引をしてゴーン逮捕に踏み切ったが、容疑の「有価証券報告書過少記載」は会社側も把握して同意していた可能性が高い。もし、この容疑だけでゴーン容疑者を立件したら“日本の検察が社内クーデターに協力するためゴーン会長を狙い撃ちした”と国際社会から批判されるのは、必至だろう。
検察としては、そうならないように、ゴーン容疑者の「特別背任」をなんとしても立件しなければならないのだが、しかし、それも、報道されている不動産の購入などだったとしたら、かなり無理があり、「損害を与える」意志を立証する必要が出てくる。つまり、どうしてもゴーン容疑者に背任容疑を認めさせる必要が出てくるのだ。
「おそらく検察は、ゴーン容疑者を20日の勾留期間中に有価証券報告書の過少記載で起訴し、その後も長期勾留をして自白を迫り、特別背任を認めさせようとするでしょう」(司法担当記者)
もっともそうなったら、海外メディアはもちろん、フランス政府も黙ってはないだろう。人権の観点から不当な拘束がなされないよう、必ず抗議の声をあげるはずだ。そのとき、外圧に弱い日本政府は常態化している長期勾留をあきらめ、ゴーン容疑者を特別扱いするのだろうか。
いずれにしても、日本の「中世」なみの司法の後進性が、これから、かつてないほど世界に認識されることだけは間違いない。
(編集部)
最終更新:2018.11.25 12:44