しかも、社会保障を削減しつづける上に消費税を引き上げれば、格差が広がるだけでなく、将来不安もより一層高まる。そうなると結局は消費が減って、景気はより冷え込むだろう。景気拡大をと訴えるならば、格差を広げる消費増税などもってのほかで、減税あるいは消費税の廃止をした上で、法人税や金融所得税の累進率を上げるべきだ。
だが、富裕層や大企業の優遇に邁進する安倍首相に、こんな声は届かないのだろう。いや、それどころか安倍首相は、消費増税によって引き起こされるであろう格差拡大をも改憲のダシに使おうとしている。
昨日おこなわれた代表質問で、日本維新の会・馬場伸幸幹事長から「教育無償化を改憲で国是としてはどうか」と水を向けられると、安倍首相はこう返した。
「自民党が示した改憲4項目のなかにも教育の充実が含まれているが、貧困の連鎖を断ち切り、家庭の経済状況にかかわらず、教育が保障される国でありたい」
教育の無償化は別に憲法に書き込まずとも、やろうと思えばすぐにやれることだ。第一、「貧困の連鎖を断ち切る」と言うのなら、貧困層がもっとも深刻な打撃を受ける消費増税など実行するはずがない。そうして貧困を拡大させている張本人が、貧困と教育を語り、憲法改正をもち出すとは、下劣にもほどがあるだろう。
軽減税率やクレジット決済の話題だけをクローズアップするメディアの無批判な報道もあって、消費税引き上げに対しては「仕方がないか」という諦めムードの空気が流れている。一方、金融所得への増税見送りなど富裕層に痛みが少ないという不公平さを、メディアは報じない。「5000円あげるから」という国民を舐めきった姿勢を、見過ごしてはいけないのだ。
(編集部)
最終更新:2018.11.01 10:14