今回の賠償確定に際してもやはり、経団連ら4団体の代表が連名で「今後の韓国への投資やビジネスを進める上での障害になりかねない」などとする声明を発表し、日本政府に対して「あらゆる選択肢を視野に、対応を講じることを強く要望する」とした。どうなるかは火を見るよりもあきらかだ。
実際、冒頭に紹介したように、日本の新聞やテレビなどのマスコミは、今回もまた、保守派からリベラル派まで一緒になって「日韓関係の悪化が懸念される」「経済的影響は計り知れない」と連呼している。結果、本質をまったく理解しないまま、「我々としてはもう立ち向かうしかない」なる頭の悪いコメントが跋扈する。そうして、なんとなく「徴用工問題は韓国が悪い」という空気がつくられる。自覚がないようだからはっきり言ってやろう。日韓関係を悪化させるのは、賠償を求める元徴用工たちではなく安倍政権と日本マスコミだ。
繰り返す。徴用工問題は、戦前日本の帝国主義と侵略戦争を背景とした人権問題に他ならない。そして、とりわけ日本の戦後賠償に関する「国家間の約束」は、“政治の都合”以外の何ものでもない。「法治主義」の概念を持ち出すならば、まずは自分たちの国が何をしてきたか、そして今の政権が何をしているのか、しっかりと見つめ直してからだ。
(宮島みつや)
最終更新:2018.11.01 02:40