しかも、安倍政権はこうした入管の問題の是正に取り組まないどころか、入管の体制を強化すべく、2019年4月から「入国在留管理局」を格上げし、法務省の外局「入国在留管理庁」(仮称)として設置する方針で、秋の臨時国会で関連法案が提出される予定だ。この格上げにより入国審査官などの増員は約320人、それに伴い事業費として来年度予算の概算要求に約30億円を計上するという。
ようするに、入管PR番組の連続放送は、この法案提出に向けたアピールである可能性が高いのだが、外国人が追い込まれている劣悪な就労実態に対する抜本的な見直しもなく、ただ管理・監視を強化するというのである。そして、これこそが安倍首相の方針なのだ。実際、安倍首相は外国人労働者受け入れの拡大を打ち出しているが、外国人を安手の労働力としか見ておらず、共生などという視点はまったくない。
現に、読売新聞9月27日付記事によると、「入国在留管理庁」への格上げにあたり、法務省は「入国在留管理部」とともに「外国人共生部」による2本柱での運用を提案していた。〈外国人を「管理」する発想だけでなく、外国人との「共生」に力点を置くことが、これからの日本社会の活力を維持するカギと見たため〉だという。だが、これに安倍官邸が噛みつき、「日本は移民政策はとらないとの立場を明確にすべきだ」「治安の悪化や、日本人の雇用が脅かされるのではないかとの不安に応えられない」と主張。結果、「外国人共生部」は幻と消えたのだ。
安倍政権以降、外国人を犯罪者と見なすような差別感情、排外主義は高まりつづけている。この現状をあらためようともせず、管理強化を謳うことは、より外国人に対する差別意識を高めるだろう。そして、このような外国人排斥の高まりにテレビが食いつき、さらに差別感情を煽る。──今回、問題となっているような番組は、安倍政権下において今後も増えていく可能性は高い。引きつづき注視が必要だ。
(編集部)
最終更新:2018.10.11 06:59