昨年大晦日に放送された『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル!絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!』(日本テレビ)にて、浜田雅功が『ビバリーヒルズ・コップ』のエディ・マーフィーのコスプレで顔を黒塗りにしたことが国際的な問題となったことも記憶に新しい。
大坂選手に対する「日本人に見えない」という差別攻撃はもちろん、「日本スゴイ」への利用もそうした差別や偏狭なナショナリズムそのものだ。
日本で複雑に受け止められているものこそが、世界中のファンや企業にとっては強い魅力となっていると、上述のニューヨークタイムズ記事は分析する。 「日本人の母とハイチ人の父をもち、アメリカで育った」その複雑で多様な背景こそが彼女の魅力となっているのだと。
大坂選手のエージェントであるIMGのスチュアート・ドゥグッド氏はニューヨークタイムズの取材に対し、こう語っている。
「15年後の未来を想像したとき、彼女はグランドスラムのタイトルをいくつも獲るようなテニス選手として素晴らしいキャリアを築いていると思う」「でもそれだけではない。彼女は、日本で多様な人種の文化が受け入れられるように変えてくれるだろう。彼女が後に続く人たちのための扉を開いてくれたこと、それは単にテニスやスポーツだけのことではなく、社会のすべての人々のためのものであることを願っている。彼女はそういう変革のアンバサダーになれると思う」
日本社会が大坂なおみ選手の活躍に見出すべきは、“日本スゴイ”“日本の心”への利用などではなく、自らの社会の差別感情や排他性を省み多様性を学ぶことだろう。
(編集部)
最終更新:2018.09.22 12:39