こうやって振り返ってみれば、もうおわかりだろう。今回、小川氏が「新潮45」に寄稿したトンデモな文章も、結局のところ、杉田議員の“LGBTは生産性がない”発言でダメージを受けた安倍政権を擁護する目的以外には考えられない。実際、小川氏自身がこの寄稿文のなかで〈LGBTという概念について私は詳細を知らないし、馬鹿らしくて詳細など知るつもりもないが、性の平等化を盾にとったポストマルクス主義の変種に違いあるまい〉などと書き散らしている。「ポストマルクス主義の変種」なる主張はともかく、読んでのとおり、ハナからLGBTをめぐる諸問題に関心などないのだ。
〈人権真理教の諸君に三度言っておく、あなたがたはそこまで「権力」が好きなのですか、少しは「人生」そのものの味わいに戻ったらいかがですか、と。〉
小川氏は例の文章をこう締めくくっているが、ひたすら安倍晋三という「権力」の走狗となることで生き永らえている自称文芸評論家に言われたくはない。
もっとも、小川氏だけの話ではないだろう。今回、「新潮45」の「特別企画 そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」に原稿を寄せた面々のほとんどが、安倍応援団やネトウヨ文化人であり、そもそも、問題の発端である杉田水脈氏自身、安倍首相が「素晴らしい」と絶賛して先の衆院選で党公認を与えた極右政治家。17日の『NEWS23』でも「まだ若いですから、そういったことをしっかり注意しながら仕事していってもらいたい」と言って杉田議員を擁護した。
安倍首相は「多様性が尊重される社会をつくっていく、目指していくことは当然だ。これは政府・与党の方針でもある」などと釈明しているが、その言葉は空疎である。杉田氏や小川氏が「新潮45」で開陳したグロテスクさこそ、安倍政権の本質であることを忘れてはならない。
(編集部)
最終更新:2018.09.21 12:14