沖縄県知事選で佐喜真淳・前宜野湾市長を推薦する自公維が、札びらで県民の頬を叩くような卑劣な選挙を始めた。告示翌日(9月14日)の建設業界の総決起大会で、建設業界職域代表の佐藤信秋参院議員(自民党)や公明党の太田昭宏・前国交大臣や維新の下地幹郎政調会長ら国会議員が次々と挨拶。辺野古反対の翁長雄志知事時代に一括交付金や公共事業予算が約500億円も減ったことを問題視する一方、“「対立から対話」を掲げる佐喜真知事誕生なら、公共事業予算は増加に転じて建設業者の労務単価(人件費)もアップする”という“にんじん”をぶら下げて、辺野古反対を言わない新基地容認派の佐喜真候補への支援を業者に呼びかけたからだ。
「ーさきま淳氏とともに建設産業の発展をー」と題された建設産業政策推進総決起大会は、14日の平日、金曜日の14時から開始。勤務時間中のはずなのに、那覇市内のホテルの会場に駆けつけた建設業者は「約1200人」(主催者)だったという。
会場入口では「内部資料」と記載された文書が配布されていた。「期日前投票の協力願い!!」と「『さきま淳』入会申込について(お願い)」を銘打った要請文2枚と、氏名や居住地を表に書き込む形式の「期日前実績調査票(個人報告用)」「入会申込書」がセットになっていた。いずれも県建設業協会の政治団体である「沖縄県建設産業政策推進連盟」が送付先でFAX番号が明記され、「期日前実績調査表」には次のようなただし書きがあった。
「※予定調査ではありません。実際に行った後にご報告下さい」
「※従業員・ご家族・親戚・友人・知人の方々の期日前の状況について、確認をお願い致します」
「※個人情報についての取り扱いには十分にご注意下さい。当方も十分に注意を致します」
「※氏名、地域、実行日については、必ず記入頂けますようよろしくお願いします」
●佐喜真陣営のなりふり構わぬ選挙戦略!期日前選挙に行った人の名簿まで提出
人手不足が深刻な建設業界としては、勤務時間帯に総決起大会に駆けつけるだけでもかなり負担に違いないが、さらなる“宿題”として従業員・ご家族・親戚・友人・知人に期日前投票を依頼、実際に行った人の名簿提出も要請されていたのだ。
民間企業経営者なら、気が重くなる“政治的活動要請”に見えるが、壇上で挨拶した国会議員の面々は違った。「大米建設」創業者の下地米一・元平良市長が父で、同社代表取締役会長の下地米蔵・建設業協会会長が兄の下地幹郎衆院議員(沖縄1区で落選・比例九州ブロックで復活)は、平然とこう言ってのけた。
「この選挙は日本にとっても沖縄にとっても大切な選挙ですので、仕事をやめて選挙運動しましょう」
つまり、勤務時間中の選挙運動(無償労働提供)を要請していたということになる。民間企業の経営者が利益創出に関係ない無償労働(政治的活動)を社員に指示すれば、株主から背任で訴えられる恐れがある。そのため、「佐喜真知事誕生のための選挙運動が建設会社の利益になる」という前提で、総決起大会出席や期日前投票調査票提出や後援会入会要請など“タダ働き”をさせているということではないのか。「無償労働提供による佐喜真氏支援活動」の見返りに「建設業者の利益拡大」を約束する“買収選挙”ともいえる。
建設業者を買収するための“にんじん”は何本もある。そのひとつが労務単価(人件費)の引上げだ。建設業界職域代表の佐藤信秋参院議員は「知事次第」と2度も強調しながら、労務単価(人件費)引上げについてこんな説明をした。
「(沖縄の労務単価は)ちょっと高い。1万9千円です。全国平均は1万8千円です。これを2万5千円、3万円に持っていかないといけない。ここが一番大事なところなのです。これをやるのは、どうするのか。知事次第なのですね、本当に。知事次第です」
そしてもうひとつが沖縄の公共事業予算アップだ。佐藤参院議員はこう続けた。