橋下前市長といい,松井知事といい、この人たちは、どんな失敗や愚策をしても、逆ギレしてどなれば封じ込めるとでも思っているらしい。
しかし、彼らが旧WTCビルについて、逆ギレしているのは、個人のメンツだけにとどまらない部分もある。旧WTCビルの問題が露わになれば、万博・カジノに批判が高まる可能性があるからだ。
「橋下氏も書いていますが、WTCビルと府庁移転問題は維新誕生のきっかけになった、いわば原点ですからね。それ以上に、すぐ隣の人工島・夢洲ではIR(カジノ)、その起爆剤としての万博という維新がこだわってきた“成長戦略”が描かれている。まったく先の見えない大阪都構想もそうですが、撤退すれば、自分たちの存在意義が根底から瓦解してしまうので、いくら災害があっても取り下げられないんでしょう」(在阪の全国紙・政治部記者)
実は、旧WTCビルは府庁移転計画が消え、とりあえず「大阪府咲洲庁舎」と称する第二庁舎となったあとも、「無駄・不便・遠い」と職員には不評で、完全撤退論がくすぶり続けている。それでも松井知事は撤退する気などさらさらない。それどころか、2015年の府知事選時には、「ベイエリア活性化の司令塔にするべき」と主張し、ツイッターにこんなことを書き込んでいた。
「もし南海トラフの津波でベイエリアが甚大な被害となった場合に、地域の住民皆さんの命と財産を守り復旧復興の司令塔となるのが咲き洲庁舎だと僕は考えています(※原文ママ)」
あれほど防災上の欠陥が指摘され、今回も機能不全の危険性が露わになった旧WTCビルを「住民皆さんの命と財産を守り復旧復興の司令塔」とは、もはや正気とは思えない。
ようするに、松井知事にしても、橋下前市長にしても、頭のなかにあるのは、カジノと万博誘致と自分たちの権力維持だけ。大阪府民の生命や安全など、どうでもいいということなのだろう。実際、その姿勢は、今回の松井知事の現場放り出しの沖縄行きと、万博のためのヨーロッパ行脚に端的に表れている。
比較的自然災害が少ないため、これまで目立たなかったが、大阪府民はとんでもない連中に自分たちの生命を預けていることをもう少し自覚したほうがいいのではないか。
(杉田涼一)
最終更新:2018.12.17 01:01