ようするに、いま、Twitterで拡散されている〈沖縄で6歳の女の子が「なんでアメリカ人がこんなところにいるんだ」と 基地反対派と見られる集団に声をかけられ複数の男たちに暴行されるという事件が起きました〉なる情報は、本サイトによってとっくに事実無根のデマと確定されていたのである。
実際、今回のデマ拡散に際しては、本サイトが2015年4月7日に公開した検証記事をもって事実無根を指摘する声も多く見られた。ところが、そうした追及に対して「ソースはリテラだけか」などと嘯く拡散者が少なくない。たとえば、一般ユーザーからリテラの記事を提示された百田尚樹氏はこんなツイートをぶっている。
〈3年前の記事についてツイートすると「それ、デマだよ」というリプライを大量にもらった。
私が「デマの証拠を教えて下さい」とお願いすると、ウソ捏造で有名な「リテラ」の記事を出してきた。それ以外のソースは一切なし!
しかもリテラも見出しは「デマ」となっているが、記事では否定していない。〉
〈デマの証拠を教えて下さい。
リテラの記事以外でね。
デマ絶対許さないなら、そこのところをよろしく!〉
これまで散々デマをふりまき、『殉愛』裁判では名誉毀損まで確定した作家に「ウソ捏造」呼ばわりされるとは片腹痛いが、「リテラの記事以外でデマの証拠を出せ」というなら、出してあげよう。
実はこの「沖縄で基地反対派が女児を暴行」デマについては、ジャーナリストの安田浩一氏も検証している。安田氏は2016年6月にノンフィクション『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)を出版しているが、そのなかに、八重山日報の記事をめぐる記述があるのだ。
安田氏は同書で、〈記事を注意深く読んでみたが、コメント以外に犯人が「基地反対派」であるといった情報は皆無だ〉と断じたあと、八重山日報の記事を書いた記者に電話で取材をした内容をこう書いている。
〈この記者によれば、事件の情報を同紙に持ち込んだのは、記事中にコメントを寄せている「沖縄教育オンブズマン協会会長」の手登根安則氏(52)だという。
記者は手登根とともに女児の母親にも会い、「確度の高い情報」だと判断して記事を書いた。ただし犯人像については被害者が6歳ということもあり、少年なのか大人なのか、そのあたりは判然としないという。
結局のところ「基地反対派」なる犯人像は、暴行時に犯人が叫んだとされる「何でアメリカ人がこんなところにいる」といった言葉と、手登根のコメント以外には存在しないこともわかった。
正直、事件ものにしては、相当に脇が甘い記事だと思った。被害者の証言をもとに記事を書くことに異存はないが、犯人像を見出しで示唆した以上は単なる推論以上の確証があってしかるべきだし、しかも、これだけの反響を呼びながら、追撃の記事がまるでない。もちろん他紙の後追いもなかった。
これでは一部から指摘されている通り「基地反対派のイメージダウンを狙ったデマゴギー」だと思われても仕方がない。〉