杉田水脈LGBT差別抗議デモ(撮影・編集部)
「杉田水脈は議員を辞めろ」「他人の価値を勝手にはかるな」「私の価値は私が決める」「This is pride!」
怒りのレインボーフラッグが、東京・永田町の自民党本部前にたなびいた。〈LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がない〉と雑誌で主張している杉田水脈衆院議員の辞職を求める抗議行動が、本日19時より自民党本部前でおこなわれたのだ。
しかも、参加者数は、自民党本部前抗議としては過去最大規模の5000人を超えた。抗議者は時間を経るごとに膨れあがり、自民党本部を取り囲むような勢いで拡大し、本部前の歩道だけではなく参議院議員会館にまで列が延びた。一方、警察もかなりの数の警官を投入し、参加者を迂回させるなどの過剰警備をしいた。
杉田議員の差別的主張については、国内のみならず海外メディアのCNNやBCC、アルジャジーラなどが報道。さらにLGBTメディアである英「PinkNews」や豪「OUTInPerth」も杉田議員の主張を取り上げており、国際問題に発展しているが、本日の抗議には特定非営利活動法人「東京レインボープライド」も参加。Twitter公式アカウントでは参加の呼びかけがおこなわれた。
しかし、当の自民党は杉田議員に対してなんらお咎めなしで、いまだに公式な見解すら示していない。その上、LGBT自治体議員連盟に所属する議員らが杉田議員に抗議する声明文を自民党本部に提出に出向いたが、なんと自民党は受け取りを拒否したという。
この期に及んで、この態度……。杉田議員の発言や自民党の姿勢に怒りの声があがるのは、あまりにも当然のことだろう。杉田議員は〈全文を読んでから批判していただきたい〉と述べていたが、今回、問題になっている「LGBTは生産性がない」という主張のほかにも、杉田議員は〈LGBTだからといって、実際そんなに差別されているものでしょうか〉などとも記述していた。
LGBT差別はない──。この主張もまた「差別」のひとつではないか。日本の法制度では異性婚は認められて同性婚は認められていない。その一点だけでも明確な差別があると断言できるが、安倍首相も「現行憲法の下では、同性カップルの婚姻の成立を認めることは想定されていない」などと国会で答弁。憲法14条の「法の下の平等」を考えれば同性婚を認めないことこそ憲法に反するとしか思えないが、安倍首相は普段は「現行憲法はGHQの押し付けられたもの」「みっともない憲法」などと批判して改憲を叫ぶのに、こんなときだけ現行憲法をもち出して同性婚の容認を拒否するのだ。
さらに、自民党は同性パートナーシップ制度にさえ「慎重な議論が必要」といって後ろ向きな姿勢を見せている。ようするに、異性愛以外の性的指向を認める気がまったくないのだ。
こうした法整備の遅れは社会の意識にも影響を与えている。実際、ゲイをお笑いのネタにするなどの差別、性別違和に対する無理解などが蔓延っている。現に、先日もお茶の水女子大学のトランスジェンダー受け入れのニュースに対し、杉田議員とも仲の良い作家の百田尚樹は〈よーし、今から受験勉強に挑戦して、2020年にお茶の水女子大学に入学を目指すぞ!〉と嘲笑するというあからさまな差別ツイートをおこなったばかりだ。