この一件は2016年に日刊スポーツが一面で報じたものだが、キー局すべてのワイドショーがこれを黙殺。しかも、新聞紹介コーナーでも日刊スポーツの一面を一切写さないという念の入れようだった。
交際の真相は藪の中で、日刊スポーツも最終的には謝罪するなど、妊娠・結婚については不確かな面もあっただろう。しかし交際報道の少し前には、有吉との共演番組から夏目が不可解な降板をしていたり、有吉の報道への反応など、根も葉もない誤報とは言い難い面も多々あった。いずれにせよ、テレビのワイドショーが一切触れないというのはあまりに異常だ。それこそ、誤報なら誤報で、ふたりが番組で否定するとか、有吉がネタにするとかありそうなものだが、それすらなく、交際報道自体がテレビのなかではなかったことになってしまったのだ。
その背景にはもちろん田辺エージェンシーの「絶対に報道するな」との圧力があったとされる。さらに、ここまで強固に報道圧力をかけた裏には、田邊社長の異常なまでの夏目に対する“溺愛”と、有吉に対する“激怒”があったとされるが、それも一部週刊誌をのぞき報じられることはなく、芸能マスコミ史にも残る不可解な一件となった。
ほかにも、ベッキーとの不倫報道やほのかりんの未成年飲酒で、ワイドショーで袋叩きになっていたゲスの極み乙女。の川谷絵音が、田辺エージェンシーに移籍した途端、バッシングがピタリと止むという露骨すぎる事件もあった。
また、SMAP解散問題でも、飯島三智マネージャーや独立組メンバーの後ろ盾として、ジャニーズ事務所のメリー喜多川副社長との間に調整役として入ったのも田邊氏だった。
つまり、戦後の日本芸能界草創期に、グループサウンズの先駆けとして活躍し、その後は芸能プロ経営者として、バーニングやジャニーズといった芸能界一大勢力にも影響力をもつ人物こそが田邊社長なのだ。
そして、今回、不倫報道のあったタモリは、長年にわたる田辺エージェンシーの看板タレント。田辺からの圧力なのか自主規制なのかは定かでないが、ようするに、スポーツ紙やワイドショーがタモリの不倫を一切報じないのは、芸能界の力学からいえば当然なのだろう。
しかし、こうして見ると、タモリがブランディングで築き上げたいまの“仙人イメージ”も田辺パワーによって守られてきたからこそのものなのかもしれない。欲を出さず、野心や上昇志向を前面に出してガツガツせずとも、好きな仕事を田辺がとってきてくれて、不都合な報道は潰してくれるのだから。
(林グンマ)
最終更新:2018.07.22 11:32