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ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第20号 

嘘つきパワハラ社長が裁判中に会社破産で責任逃れ!それでも社長個人のパワハラ責任を追及することはできるか?

 これらのパワハラは、ひとつひとつを取ってみれば、子供じみているところもある。しかし忘れてならないのは、社内の絶対的権力者である社長がこれを行っているということである。権力者の子供じみたふるまいほど恐ろしいものはない。社内の特殊な力関係の中で、依頼者に抗うすべはなかった。 

ここに至って依頼者は、完全に追い詰められてうつ病になってしまい、自死を図るまでに追い込まれた。依頼者の命が助かったのは、ただ、ロープをかけた樹の枝が依頼者の体重を支え切れなかったという幸運によってであった。

 この自死未遂ののちに事件の依頼を受けて、弁護団は、まず会社への証拠保全を申し立て、依頼者が作成させられた始末書や依頼者が社長宛に送信した大量のメール等の証拠を入手した。そして、これらの証拠を基に労災を申請したところ労災が認められたので、改めて会社に対して損害賠償請求の訴訟を提起した。

訴訟において、社長は、稚拙な嘘を繰り返した。

 たとえば、取引先の一つである設計事務所との間の値下げ交渉について、社長は「発注した設計にミスがあって市の許可が下りなかったから、依頼者に値下げ交渉をさせたのだ」と主張した。しかしながら、のちに証拠として出てきた労災手続の聴取書では、社長は「あの事務所はもっと安くできるはずだ」などと、全く違うことを語っていた。もちろん設計ミスなど全くの事実無根であった。

 また、依頼者の自死未遂のきっかけとなった音楽イベントでの発注についても、社長は、自分が承知していない発注を、依頼者が勝手にやったのだと言い張った。しかしながら、のちに証拠で出てきた受注伺書に押されている決裁印は、どうみても社長自身の決裁印であった。

 すぐに嘘だとわかる嘘を、なぜこうも繰り返すのか、唖然とするほかなかったが、社長には全くわるびれた様子はなかった。黒いカラスを白いと強弁することに慣れきってしまっていたからかもしれない。

 しかし、当然のことではあるが、法廷においては、社長は権力者ではない。法廷では、黒いカラスは黒いのである。訴訟は依頼者に有利に進んでいた。

ところがである。社長は、訴訟係属中に、なんと会社の破産の申立を行ってきた(あとで判明したことだが、社長は、他の取引先等にも嘘を吐きまくって支払逃れを繰り返していたらしい。そのため、債権者集会は、怒れる債権者たちが大集合した修羅場となった)。

会社が破産するというのは、すなわち、このままでは会社自体が消滅してしまうということである。そして、これを止める手段は基本的に存在しない。この件は、労災が認められていたので、たとえ損害賠償が受けられないとしても、依頼者の生活保障という意味では、一定の救済は確保されていた。 

しかし、依頼者としては、どうしても、このまま社長を許すことができなかった。そこで、弁護団としては、社長の個人責任の追及を検討することにした。

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