そもそも、森友問題においては、公文書を改ざんするという国家的大犯罪が朝日新聞の報道によってあきらかになっても、安倍政権はその事実を約1カ月も認めなかった。それも、近畿財務局から自殺者が出たことから渋々認めたのだ。
そうした政府の隠蔽体質はいまだに変わっていない。現に参院予算委員会では、共産党の辰巳孝太郎議員が独自入手した、国交省が作成したと思われる2つの新文書について追及。その新文書では「近畿財務局と理財局のやり取りについては、最高裁まで争う覚悟で非公表とする」などとこの期に及んで記録を公開しないことや、官邸が法務省を通して大阪地検に圧力をかけていた重大な事実が書き記されていたが、石井啓一国交相は省内に文書が存在する可能性を認めながらも調査を拒否している。
さらに、森友・加計問題では、佐川宣寿・前理財局長や柳瀬唯夫・元首相秘書官が国会に出てきても、与党や官邸があらかじめ台本をつくり、虚偽の証言・答弁を連発させている。その上、安倍昭恵氏や加計孝太郎理事長といった最大のキーパーソンの証人喚問や国会招致は、与党の断固とした反対で実現にさえいたっていない。政府と与党こそが議論の停滞を招いているガンだ。
だいたい、「党首討論を2週間に1回おこなう」と言ったって、安倍首相が野党の質問時間を奪うためにダラダラと議事録を読み上げたり、質問をはぐらかしてまともに答えない状態では、何の意味もない。また、「総理や大臣の国会出席日数が多くて合理的じゃない」と制度を批判する前に、「ご飯論法」で審議時間を削ってばかりの総理や大臣たちの姿勢を問いただすべきだ。
しかも、「政権はしっかりと説明責任を果たしているのか」などと言いながら、小泉氏は「予算/各委員会では政策のみを議論」「総理の国会出席削減」と、国会における不正追及の機会を少なくしようとしている。特別調査会設置などと言っているが、いまでさえ誠実に対応しない政権が予算や法案審議に影響がない場所で説明責任を果たすわけがないだろう。
つまり、小泉進次郎氏の「国会改革」とやらは、野党に向けられる「反対してばかり」という印象操作に便乗した話のスリカエでしかない。さらに国会議論を減らそうという国会軽視、民主主義軽視の傾向すらある。空疎な「改革」を叫んで「真のリーダー」像を演出しようという、安倍首相や橋下徹と何ら変わらない騙しの手口だ。
だが、こうした野党批判を利用した「改革」詐欺は、当の野党からも出てきている。「対決よりも解決」を掲げる国民民主党は、前述したように働き方改革一括法案で島村参院厚労委員長の解任決議案に賛成せず、それによって与党は決議案を蹴って本会議に上程しなかった。玉木雄一郎代表をはじめ、国民民主党の議員らは高プロ制度の導入に反対し、「総理は過労死遺族の声を聞け」と迫ってきたにもかかわらず、だ。これでは日本維新の会と同様、たんなる「自民党のアシスト部隊」でしかない。