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バスに乗り遅れた安倍首相がテレビで金正恩委員長を評価し、対話前向き発言! ネトウヨ、安倍応援団の反応は…

 実は、このFNN報道はネット右翼を中心に「フェイクニュース」「誤報では」なる声も上がっていたのだが、『プライムニュース イブニング』のなかで反町氏から金委員長発言について「こういうふうに言われるってことは、日本からは北朝鮮に対してまったくパイプがないということに聞こえますが」と質問された安倍首相は、このように答えたのである。

「『直接言ってこないのか』ということはおそらく、金正恩委員長に直接ということだと思います。われわれは北京ルートを通じてあらゆる努力をいままで行ってきておりますし、いまも行っています。つまり、文在寅大統領が直接会って話をしている、あるいはポンペオ(米国務)長官が直接会って話をする。それぞれのときに拉致問題について働きかけをしていただいていると思いますが、つまり、なぜ日本が自分自身に直接言ってこないのかということだと私は受け止めています。これはあの、あの……見方によってはですね、いわば、えー、それ(拉致問題)には応じるかもしれない、ということかもしれないという分析もできるのだと思います」

 見ての通り、報道が事実であることを前提に話している。「あらゆる努力」などと言って無理やりフォローしようとしているが、少なくともこの間、水面下でも日本政府は北朝鮮側と直接、拉致問題の交渉をしていなかったのだ。安倍首相はこれまで「拉致問題は最重要課題」と繰り返し語り先月も拉致被害者家族会などが主催した国民大集会で「私が司令塔」と大見得を切っていた。が、現実は「司令塔」どころか「直接言ってこいよ」とハッパをかけられるレベルなのである。

 裏を返せば、安倍首相はいまや、この金委員長発言をテレビで認めなければならないほど、軌道修正の必要性に駆られているということだろう。実際、安倍首相は番組のなかで日朝首脳会談にも意欲を見せていた。おそらく、今回のFNNのスクープも、「なぜ直接言ってこない」発言を金委員長のほうから首脳会談を求めているという印象にすり替える目的があって、フジの番組で釈明を述べるのとセットで流したのだろう。同時に、北朝鮮側から安倍外交のお粗末な実態を暴露される前に手を打つ、そうした地ならしのためのリークでもある。

 政治利用のため“北朝鮮の脅威”を国内外で吠えまくったあげく、国際社会から取り残されて、孤立の一歩手前までいってヤバいと気がつき、自分で勝手に外れたレールへ今頃になって戻るため、米中韓の背中を必死に追いかけているその姿。正直、格好いいものではない。だが、そうした安倍政権の苦しい裏事情は別として、日本政府がようやく対話路線に近づいていくこと自体は、素直に歓迎すべきだろう。

 百に一つも安倍を褒めることのない本サイトだが、米朝会談を成功させ、平和への土台を固めたうえで、その後の日朝会談と拉致問題解決につなげようという姿勢は、それが偽りないものであるならば、きちんと評価したいと思う。鼻水を垂らそうが、涎まみれになろうが、それでも平和という「乗り遅れてはいけないバス」があるのだ。

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