「週刊文春」4月26日号
たけし軍団とオフィス北野・森昌行社長の手打ちで、まるで一件落着した感があるビートたけし独立問題。そもそも今回の独立劇の背景には、たけしが異様に入れ込む愛人の存在があったはずだが、それさえもすっかりなかったことにされてしまっている。
しかしそんな状況のなか、たけし独立騒動に対する報道のありように苦言を呈した人物がいる。作家の林真理子氏だ。
林氏は「週刊文春」(文藝春秋)4月26日号連載コラム「夜ふけのなわとび」で〈週刊新潮は、このところ毎週のように、この問題について特集を組んでいる〉とライバル誌のたけし報道に触れたのち、こんなことを指摘しているのだ。
〈こういう時、週刊文春の見解を聞きたいところであるが、なんかおとなしい。先週もグラビアだけでお茶を濁していた。殿の小説をいただいたので深くは書けないらしい〉
林氏の指摘は正しい。本サイトでもすでに記事しているが、3年半前、新愛人の存在をセンセーショナルにスクープ、独立劇の端緒をつくったといえる「週刊文春」は、今回のたけしの独立、愛人騒動に関しては“文春砲”を炸裂させないばかりか、ほぼ沈黙を守ったままになっている。そして、その代わりに大々的に掲載されたのがたけしの書き下ろし小説「ゴンちゃん、またね。」だった。
愛人をスクープされたたけしが「週刊文春」と手打ちするために、バーターで小説を進呈したといわれる。しかし天下の「文春」が、たけしの姑息な手打ちに簡単に乗り、露骨なまでに騒動をタブー化してしまうとは、恥ずかしくないのだろうか。林氏も同コラムで皮肉たっぷりにこう批判している。
〈今回の騒動について、週刊文春ならどう書くか、みんな固唾を飲んで見守っていたはず。それなのに、またまた忖度か、もう財務省のことを非難出来ない、と考えるのは私だけであろうか〉
林氏は「またまた忖度」と書いているが、実は、この大物作家はこれまでも「週刊文春」のタブー問題について、度々「夜ふけのなわとび」で苦言を呈してきた。たとえば2014年に勃発した百田尚樹の『殉愛』騒動では、「週刊文春」をはじめとする多くのメディアが騒動をスルーし沈黙するなか、林氏は「週刊文春」も含めた週刊誌を「これで朝日新聞のことを叩く資格があるのか」と徹底批判している。また昨年、明らかになった元TBS記者で御用ジャーナリスト山口敬之氏のレイプもみ消し事件についても、山口氏と密接な関係にある「週刊文春」がまったく報じないなか、林氏は〈胸がムカムカするような事件〉と山口氏のレイプ事件を紹介、詩織さんへのセカンドレイプに憤っている。