こうした冷たい態度に、早紀江さんはめぐみさんが拉致された日から40年となった昨年11月15日の会見で、「政府は一生懸命、知恵を練って下さっていると思いましたが、40年たっても何もわからない状況に、一体何だろうか、信じてよかったのかとの思いが家族にはあります」と後悔の念を漂わせていたほどだ。
それが今回、一転して、横田滋さんへのお見舞いをしたというのは、明らかに人気挽回のためのパフォーマンスだろう。
前述したように、安倍政権はいま、森友・加計問題による急激な支持率低下に見舞われている。これまでは、失政や疑惑のたびに北朝鮮のミサイル危機を煽り、政権浮揚に利用してきたが、それも望めない。それどころか、強硬策一辺倒で、朝鮮半島危機の平和的解決の流れから完全に取り残されてしまった。そこで、日米首脳会談を前に、またぞろ拉致問題を政治利用し“横田さんの思いをトランプ大統領に届ける”などと言い出したのだ。
だが、このようなわかりやすい工作に励んでも、安倍首相は今後もさらに苦境に立たされるのは必至だ。23日の週に柳瀬唯夫・元首相秘書官の国会招致がおこなわれる予定だというが、愛媛県の面会記録文書を認めてしまえば、「(加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは)2017年1月20日」という答弁が虚偽だったと認めることになるだけではなく、「首相案件」という言葉も認めなければならなくなるからだ。
そのため、安倍応援団たちはいま、こぞって「国家戦略特区諮問会議の議長は安倍首相なのだから『首相案件』なのは当たり前」などと新たな言い訳を喧伝しはじめている。安倍官邸は柳瀬元首相秘書官の証人喚問でもこの詭弁で乗り切ろうという算段で、いまから必死になって御用学者・ジャーナリストにこの論を広めさせているというわけだ。
しかし、本サイトの既報の通り、はっきり言ってその根拠は小学生レベルの言いがかりとしか呼べず、佐川宣寿・前理財局長の証人喚問につづいて、柳瀬氏の茶番を国民はすぐに見抜くだろう。いや、「小学生レベル」と言えば、小学生に失礼だ。実際、4月14日付の毎日小学生新聞に掲載された政治の解説は、こんな文章で締められていた。
〈まず私たちは次のことを知っておきましょう。
一度うそをつくと、うそを重ねないといけなくなる。そして、うそはいずればれるということです〉
一体、安倍首相は次はどんな嘘をつくのか。この6年間の集大成として、盛大に醜態を晒して退陣の花道を飾ってほしいものだ。
(編集部)
最終更新:2018.04.16 11:02