今回、明らかになった株の比率をみると、この指摘は概ね正しく、舘社長率いる東通がオフィス北野の55%の大株主となっていた。一方、森氏はオフィス北野設立と同時にたけしからスタッフとしてスカウトされ、取締役制作部長に抜擢されただけで、このスキームとはまったく関係がなかった。ようするに、最大株主の東通は完全にたけしの人脈であり、たけし独立とセットで経営に入り込んできた会社なのだ。その株式譲渡をたけしが知らないはずはないだろう。
しかも、株の売買は軍団の声明文にあったように、東通がいまから26年前の1992年、会社更生法を申し立て事実上の倒産状態に陥ったためだった。この倒産直前、舘氏は資金調達のために森氏に株買い取りをもちかけ、オフィス北野はそのかわりに、舘氏が経営陣から外れることで手打ちをしたのだ。前掲「噂の真相」は「舘がオフィス北野の代表を降りることと引き換えに、たけしがその尻拭いをやらされた」と書いていたが、この尻拭いというのが、舘氏らの株を森氏が取得するということだったのではないのか。
実際、そのまま舘氏が社長を務めていれば、債権者がオフィス北野に押し寄せてきただろう。それを回避するために、森氏は株を買い、代表を降りた舘氏に代わり自分が社長を引き受けた。こうした経緯をみれば、当時、森氏がたけしに内緒で55%もの株を東通・舘氏から“勝手に”譲渡されることなどありえない(万が一、森社長がたけしに知らせずに処理をしていたとしても、この事実は前述したようにその後「噂の真相」などが書いているため、たけしがずっと知らないままだったというのはやはりありえない)。
それどころか、森社長の株取得の行為はすべて、たけしを矢面に立たせないためだったのではないか。それを「裏切り」などといって26年前のことをもち出し、糾弾するのは、ためにする言いがかりとしかいいようがない。
オフィス北野の株絡みで言えば、たけしが“軍団のために億単位の金をオフィス北野に残した”という美談も大嘘だった。
これは3月16日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)に出演したガダルカナル・タカが、「(たけしが株を処分して)びっくりするくらいのお金を残してくれている」と告白したのを皮切りに、水道橋博士も「殿が抜けられて、たけし軍団の方に株を分けられて」「殿に株を分けていただいたのは8人」など美談として流布していた。
ところが、先週発売の「週刊新潮」(新潮社)3月29日号によると、話は逆で、たけしは自分の株をオフィス北野に買わせていたのだという。しかも、その金を軍団に分配したわけではない。声明文や昨日の『バイキング』のダンカンの説明でもわかったが、軍団の主要メンバーに分配される株はそもそもたけしの持ち分ではなく、森社長のものだった。
「(たけしは)社長の分をみんな均等にして、おまえらに株を全部渡すからと言ってくれた」
つまり、たけし自身は一切自分の懐を痛めず、たんに、森社長の持ち株を軍団にただで譲渡しろ、と命じただけなのだ。これのどこが美談なのか。