ちなみに、国家戦略特区には「産業の国際競争力の強化や国際的な経済拠点の形成に資する事業」という条件がある。また、加計理事長は設置審の判断を受けて〈国際的に通用する人材を養成するために、獣医学科75名、獣医保健看護学科12名という充実した教員組織を備えます〉というコメントを発表していた。一方、そうした高度な教育や研究を行うことのできる優秀な教員数が確保できるか、少なからぬ疑問の声があがっていたのは周知のとおりだ。
ところが、蓋を開けてみたら客員教授にケント・ギルバート氏って。ひょっとして、その「国際的」っていうのをアメリカ人弁護士であるケント氏でまかなおうとしたのでは……と、いうのはさすがにないと思いたい。だが、少なくとも、ケント・ギルバート氏のような人を、公的教育機関である大学の教壇に立たせるとこと自体、世間から疑問視されてしかるべきだろう。
というのも、ケント氏は、たんに安倍政権擁護に勤しんだり、政権に批判的なメディアをバッシングしているだけではない。その言論活動には、中国人や韓国人、朝鮮人に対する差別を扇動する、極めて悪質な内容が含まれているからだ。
実際、ケント氏が昨年に出版した『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社)では、民族や国籍でひとくくりにし〈「禽獣以下」の社会道徳や公共心しか持たない〉〈彼らは息をするように嘘をつきます〉〈自らの利益のためなら法を犯すことすら厭いません〉〈自尊心を保つためには、平気で嘘をつくのが韓国人〉〈嫉妬心や執着心は誰にでも多少はあるものです。しかしその病的なレベルについていえば、韓国人が世界一〉などと書き散らすヘイト本だった。
なお、岡山理科大学は各国から多くの留学生を受け入れている。同大ホームページによると、2017年5月現在の留学生は178名。うち、中国国籍が100名である。昨年には韓国・ソウルで入学説明会も行なっていた。ケント氏は、そうした留学生を含む学生らを前にして、「禽獣以下」だの「息をするように嘘をつく」だの「病的」だのとヘイトを連ねるとでも言うのか。論外である。
それにしても、あのケント氏が、ちゃっかり客員教授の職まで手に入れるなんて。政権御用の“ネトウヨビジネス”ってホントに特典がいっぱいあって、おいしいんだねえ。
(編集部)
最終更新:2018.04.04 09:05