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産経が「リベラルの男はキンタマ小さい」なる説を堂々掲載! 筆者の竹内久美子はデタラメ動物行動学でLGBT差別やレイプも正当化

 リベラル=共産主義・社会主義という浅薄すぎる理解もさることながら、それを通俗的な性愛論(下ネタ)と強引に結びつける……。これで「動物行動学研究家」を自称しているのだから呆然とする。

 さらに竹内氏は〈睾丸サイズの大きい男は、女性関係も派手であり、モテるという傾向〉〈睾丸の小さい男は、子の世話をよくし、イクメン度が高い〉とする欧米の研究があるといい、それと、モンゴロイドはニグロイドやコーカソイドと比べて睾丸が小さいなる話を掛け合わせてこう書く。

〈共産主義、社会主義は睾丸サイズの小さい、つまり女にモテない男にフィットした思想であると私は考えるが、日本人の男は睾丸サイズの小ささという点においてそもそも、これらの思想に惹かれやすい要素を持っていると言えるだろう。〉

 かくして、〈ともあれ日本型リベラルの男を発見したなら、彼はまず間違いなく、女にモテないタイプ〉などと主張するのだ。

 控えめに言っても理解に苦しむ。こうした種類の疑似科学的論理に対しすべての反駁をはじめるとキリがないが、ひとつだけ端的な反例をあげておこう。

 竹内氏に従えば、モンゴロイドが多数をしめる日本では、欧米に比べて男性の育児協力が進んでいるはずである。しかし、周知の通り、現実は真逆だ。

 事実、日本で男性が子育てや家事に費やす時間は、先進国中で最低水準。内閣府によれば、6歳未満の子どもを持つ夫婦の1日あたりの「育児・家事関連時間」は、日本では妻が7時間41分(うち育児時間は3時間22分)に対し夫はわずか1時間7分(同0時間39分)。一方、他先進国の男性は、アメリカが2時間53分(同1時間9分)、ノルウェーが3時間12分(同1時間13分)など、あえて竹内氏の言い方を使えば「睾丸が大きいコーカソイド」のほうがよっぽど「イクメン」なのである。

 つまるところ、竹内氏はさも「動物行動学の知見」に基づいているかのように述べているが、実際には、出典もデータもゼロか曖昧な部分が多いのはもちろん、ようは自説に都合の良い話のパッチワークで、科学的にも論理的にもデタラメなのだ。言い換えれば、「日本型リベラル」なるものをバッシングするために、やれ「睾丸」だの「モテない」などと訳のわからないことを書き散らしているとしか思えない。

 他にも、唖然としたのが、〈共産党が未だに存在する国でよく知られるのが、中国、北朝鮮、そして日本だが、それはいずれもモンゴロイドの国であり、男の睾丸が小さい傾向にあるからではないだろうか〉というくだりだ。今さら説明するまでもないが、国会で共産党が議席を持つ国は、ロシアはもちろん、ポルトガルやギリシャ、ブラジルもそうだし、「共産党」という名前の付いてない政党も含めれば、急進左派政党は多くの民主主義国で議席を獲得している。それがなぜ、共産党が未だに存在するのは中国、北朝鮮、日本というモンゴロイドの国、という話になるのか。さっぱりわからない。ようするに、この人、政治のことも世界のことも何にも知らないのである。

 ちなみに、キューバについては、竹内氏もさすがに共産党があることを知っていたらしいが、〈本物の共産主義ではない、“なんちゃって共産主義”のようなもの〉だから例外らしい。苦笑。

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